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2020年6月14日
WSJT-X2.2の日本語化対応の改版をしたので、ついでにJTAlertの記事も改版しました。今後は新しいほうの記事を見てください。
 WSJT-X(JTDX)+JTAlertによるFT8運用環境向上(改版)


(古い記事も残しておきます。)
先の記事「IC-7300M + WSJT-X2.0で FT8 運用」でFT8運用までの手順について書きましたが、今度はローカルさんからJTAlertの設定のHELP要請がありました。
JTAlertの導入設定については、昨年JT65を始めた頃に「WSJT-XによるJT65運用環境向上(その3) JTAlertX導入設定」に書きましたが、内容が古くなったのでこの機会に改版して再掲します。

JTAlertを使う事で以下が出来るようになります。
① オンエア局が同一モード同一バンドで交信済みかどうかを表示(B4表示)してくれる。
② CQを出している局が初モードまたは初バンドの場合は色分けと音声で知らせてくれる。
③ 交信中に受信文に自分のコールがあるとチャイムで知らせてくれる。
④ オンエア局がeQSL.cc、LoTWに登録済みかどうかを表示
⑤ 相手局のQRZ.comへの登録情報(Name,QTH)の表示
⑥ eQSL.ccへの電子QSLカード自動発行

WSJT-XがWSJT-X2.0になってから、同一モード同一バンドの未交信局が色分け表示されるようになったので、JTAlertの必要性が少なくなった気もしますが、JTALertがWSJT-Xと一緒に使うと、とても便利なソフトであることは間違いないと思います。
特にeQSL.ccを使っている方にはeQSLの自動発行機能はとても便利です。

参考ですが、私はFT8の運用でQSLカードとログに関して以下のような運用を行っています。
① QSLカードはeQSL.cc会員には電子QSLのみで紙カードは送らない。
 eQSL.cc会員でない方には紙QSLを発行します。
 FT8では紙QSLは交換していない人も多くて、eQSL.cc会員以外とはQSOしないようにしている方もいるようです。
② ログはHAMLOGをメインで使用。FT8のQSO終了時にJT_Linkerを使ってHAMLOGに記録。
③ eQSLは交信と同時にJT_Alertで自動発行。相手がeQSL.cc会員ならHAMLOGのQSL欄に「E*」を記載。
 eQSL.cc会員で無ければ「J 」を記入。
④ 月一度(月初)に非eQSL.cc会員へ、HAMLOGで紙QSLカードを印刷してJARLに発送。
 eQSL.ccのWebでeQSLを受取っているかどうかをWebで確認してHAMLOGに受領マーク「E**」を記録。
 eQSL交換済みでも紙QSLを送って来られる方も多いので、その場合は紙QSLを発行しています。
⑤ 月一度(月初)LotWへ1カ月間のログをアップロード。
 DX局はLotWのみでeQSLも紙QSLも発行してない局も多いようです。
 DXCCアワードもLotWのみで申請可能です。(私はまだ66エンティティーで、先が長そうです。)

前置きが長くなりましたが、ここからJTAlertの導入です。
説明はeQSL.cc、QRZ.comへの登録が終わっている前提で書いています。
eQSL.cc、QRZ.comに関する設定は後からでも出来ますので、未登録の方はとりあえず関連する設定をしないでJTAlertを設定してください。

なお、eQSL.cc、QRZ.com、LoTWへの登録は以下の記事を参照してください。
・eQSL.cc FT8運用環境向上 eQSL登録手順
・QRZ.com WSJT-XによるFT8運用環境向上(その5) QRZ.com登録
・LoTW   WSJT-XによるFT8運用環境向上(その6) LoTW登録

1. JTAlertインストール
(1) JTAlertを以下からダウンロードします。現在のバージョンは 2.12.9でした。2.12.9からはWSJT-X2.0対応のバージョンです。
 http://hamapps.com/
 HamApps JTAlert 2.12.9 (HamApps_JTAlert_AL_2.12.9_Setup.exe)

なお、私の環境ではJTAlert タイトルバー表示乱れが起こったので、Alternate Layoutバージョン(HamApps_JTAlert_AL_2.12.7_Setup.exe)を使っています。

(2) 同時に以下のSupport Fileもダウンロードしておきます。
 HamApps Callsign Database v2018.xx.xx (HamApps_Databases_2018.xx.xx_Setup)
 HamApps Sounds v2.5.1 (HamApps_Sounds_2.5.1_Setup)

(3) ダウンロードした HamApps_JTAlert_2.12.9_Setup.exe を実行します。
 JTAlertは各種のFT8ソフトに対応しているようですが、WSJT-Xを選びます。
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インストール先はデフォルトのままにしました。
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[Finish]でインストール終了です。デスクトップにJTAlertのアイコンが追加されているはずです。
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(4) HamApps_Databases_2018.xx.xx_Setup、HamApps_Sounds_2.5.1_Setupをそれぞれ実行してインストールします。

2. HAMLOGからのログ情報取り込み準備(Turbo HAMLOGを使ってる方)
 先に過去の交信ログファイルの準備をしておきます。このファイルをJTALertのログファイルとして指定する事で、過去の交信情報も参照させることができます。
 HAMLOG画面で、検索→[複合条件検索と印刷]を選びます。出力ファイル名はLogList.adiです。
[レコード番号]を1からに設定、出力先を[ADIFファイル]を選択して[検索無しボタン]を押します。
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HAMLOGのフォルダ内にLogList.adiが作成されます。
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なお、HAMLOGを使われている方でもFT8をこれから始めるなどで、まだFT8のログが無い方などログを引き継ぐ必要のない方は上記作業は必要ありません。

3. JTAlertの設定
(1) 先にWSJT-X側の設定を行います。
 WSJT-Xを起動しておきます。
 WSJT-Xのメニューバーから File→ Setting→ Reportingタブ
 UDP Serverの3ヶ所のチェックボックスにチェックを入れておきます。
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WSJT-XとJTAlertはUDPポートを使って通信します。この設定でWSJT-XはJATAlertXからの要求でネットワークのモニター情報をUDPポートに送信するようになるようです。

(2) 次にJTAlertを起動すると最初に(一度だけ)言語とコールサインの入力画面が出ますのでそれぞれ、English、自分のコールを入力します。
WSJT-Xは先に起動しておいてください。WSJT-Xが起動していないと以下のメッセージを表示してWSJT-Xの起動を待ちます。
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以下のメッセージが表示される場合はWSJT-XとのUDP通信が上手くいっていないのでWSJT-Xの設定を確認してください。
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(3) JTAlertの設定
 JTAlertが起動した状態の画面です。(初期状態の表示は多少違うかも知れません。)
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メニューバーから Settings→ Manage Settings で設定画面を表示します。
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以下、主な設定画面を載せます。私の場合の設定なので参考にして自分の好みに合わせて設定してください。
設定内容の意味が良く分からないところはデフォルトにしています。(ちゃんと理解してない項目も多いです。(^^;)

・Alerts
上記の画面です。
[Quick Enable/Disable Audio and Visual Alerts] 自分宛のメッセージでチャイムが鳴るようOwn Callをチェックしてます。他の設定は必要に応じてチェックしてください。全部チェックすると多分うるさいです。(笑)
[Quick Enable/Disable Visual only Alerts] LotwとeQSLの会員表示をチェックしています。
・Alerts/Own Call
自分のコールサインを設定します。
自局宛メッセージの色[Alert Color]は赤にしています。[Set background]で設定します。
[Alert Sound] Wave File Pathは[Default]を押すと先にインストールしたHamApps_Soundsが設定されます。
[Test]ボタンで自局宛メッセージ受信時のチャイム音のテストが出来るので適当な音量に設定してください。
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なお、チャイム音が出ない場合は、先にSound Cardの設定を行ってください。(この項目の最後)
また、JTAlertのインストール時にHamApps Sounds のインストールをしていないと音が出ません。

・Alerts/CQ and QRZ
CQ/QRZの色はWSJT-Xに合わせてピンクにしました。[Set background]で設定します。
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・Alerts/Worked B4
色なしにしています。
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・Alerts/LoTW eQSL(AG) Flags
LoTWユーザ、eQSLユーザの表示は三角フラグにしています。
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・Logging
[confirmed/Worked bands Display] Cardをチェックするとログ情報からConfirmed情報を表示します。
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・Logging/Standard ADIF Files
ここで、HAMLOGから出力した LogList.adi を指定します。これにより、過去の交信情報も参照されるようになります。
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(余談ですが、私はOneDriveにHAMLOGをインストールして複数のPCで同期できるようにしています。)
HAMLOGのログを引き継ぐ必要のない方は[Create New]でデフォルトディレクトリにlog.adiファイルを新規作成してください。
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DXLab DXKeeper 以下の設定はネット上のログサービスや海外で使われているログソフトを利用する場合の設定のようですが、私はJT_Linker経由でHAMLOGを使っているので、すべてのチェックが外れています。

・Applications/Auto-Start
JTAlertを起動したときに他の必要なソフトを自動起動する事が出来ます。Delay msは以下の値で大丈夫と思いますが、上手くいかない場合は長くしてください。
以下画面の設定でJTAletXを起動すると、WSJT-X、JT_Linker、Hamlogが自動的に起動するようになります。
終了時もJTAletXを終了すると、他のソフトも終了します。
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・Windows
[Extend Display] すべてのチェックを外すとウィンドウの高さを小さくすることが出来ます。ディスプレイが狭い場合はチェックを外してください。私は相手情報を表示する設定にしています。
[Window Position] JT-AlertがWSJT-Xの上にくっついて表示されるようにしました。
これらの設定はタイトルバーの[View]で変更できるので、後で実際に使いながら見やすいように設定してください。
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なお、[Decoded Callsigns Display」の数は横方向を増やすと文字が小さすぎる場合があるので、その場合は6にしてください。

・Web Services
HamSpots.netへのレポート送信はONにしています。
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HamSpots.netでは、オンラインユーザー同士のチャット、自局を受信した局のスポット情報などを見る事が出来ます。

・Web Services/Online Logbooks
eQSL.ccにQSLカードを自動発行したいので、Enableにして、eQSL.ccに登録したコールサイン/パスワード/QTH Nicknameを入力しています。
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eQSLの登録がまだの方は設定しないでおいて、eQSLの登録完了後に設定すれば良いです。

・Web Services/Online XML Callbooks
QRZ.comから情報(Name,QTH)を取得して表示するように、QRZ.comに登録したコールサイン/パスワードを設定しています。
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QRZ.comの登録がまだの方は設定しないでおいて、QRZ.comの登録完了後に設定すれば良いです。

・Sound Card
Sound Cardはパソコンのスピーカーを指定します。Sound Schedule 夜中とかに音を出なくする設定もあります。家族からクレームがあった?(笑)
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・Station Callsign
自局のコールサイン、位置情報を設定します。
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以上で設定完了です。一度、JTAlertとWSJT-Xを終了してJTAlertを再起動してください。
WSJT-X、HAMLOG、JT_Linkerも同時に起動されるはずです。

4. JTAlert運用
(1) 画面の説明
以下はFT8運用中の画面です。WSJT-Xのメインウィンドウの上にJTAlertがくっついて表示されます。
それぞれのウィンドウの位置とサイズはパソコンの画面に合わせて調整してください。
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JT-Alertのそれぞれの表示は以下のようになっています。
① 同一バンド同一モードで交信済みの場合、コール-B4 とB4を付けて表示します。
② 初めての局、初モード、初バンドの CQ局があると色付き(設定をピンクにしました。)で表示して、音声で「CQ」と知らせてくれます。
③ 交信相手局のQRZ.comへの登録情報(Name,QTH)を表示します。 (交信済み局の場合は以前のログの情報を表示します。)
④ LoTWとeQSLの登録局の場合は、コールサインの左上(LoTW)と右下(eQSL)の隅に三角フラグがつきます。
⑤ メッセージに自分のコールが入っていると、受信時にコールサインが色付き表示(設定では赤)されて、チャイムが鳴ります。 (JT65では送信と受信の2分間、別の事をしていても応答するタイミングが分かるので便利です。)
なお、コールサイン表示エリアはメニューバーのViewで表示数を設定できます。私は2行8スロットに設定しています。
⑥のLog FieldsはViewからON/OFFできます。右端のQボタンを押すとQRZ.comのWeb画面が表示されます。
⑦のCofirmed BandバンドエリアもViewからON/OFFできます。表示しておくと交信相手の交信済みバンドが一目で分かります。
⑧ QSL MessageとCommentを切替えて表示します。QSL Messageを入れておくと電子QSLカードのCommentsに反映されます。
 CommentにするとJTAlertユーザー同士ならチャットが出来るようですが、私は使った事がありません。

CQを出している局を呼びたい場合、その局(上の例では②)をクリックするとWSJT-Xが応答メッセージを送信します。WSJT-X側でメッセージをダブルクリックするのと同じ動作をします。

(2) eQSL.cc自動発行
eQSL.ccの設定をしている場合、交信が終わってWSJT-XとJTAlertのログが記録されると、自動的にeQSL.ccへ電子QSLカードが発行されます。eQSL.ccに電子QSLが発行されたかどうかは、eQSL.ccにログインしてOutBoxを見て確認できます。
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(補足)
以前、JTAlertがADIFファイルの読込を失敗してB4が表示されなくなるという問題に遭遇しました。私の場合は、JTAlertの新しい版に置き換えて改善しましたが、原因がADIFファイルがおかしくなっていたためという方もいるようです。
HAMLOGでADIFファイルを作り直してみる。ADIF Master (ADIFファイルエディター)で編集してみる。などの対処方法があるようです。

以上、JTAlertのインストール、設定と簡単な運用の説明でした。
設定項目が多いので、実際に使いながら好みに合わせて設定を変えてください。