先の記事「IC-9700 外部基準信号同期エラー レベルの問題では無さそう」で、アイコムに動作点検に出したという話を書きました。
今日、電子センターさんから修理が終わったという電話をいただいて、引き取ってきました。
不具合現象は、IC-9700にGPSDOをつないで基準信号(10MHz)を入力して外部同期にした状態で、IC-9700の電源投入直後に同期外れエラーが出るというものでした。本体が冷えた状態で電源を入れた時のみ起こるので、私のIC-9700のTCXOの温度特性が良くないのだと思います。
サポートセンターに問い合わせたら、動作点検に出すようにとの指示だったので、7月30日に電子センターさん経由でリペアセンターに送っていました。
そして、本日、ようやく無事に帰ってきました。その間、IC-7000Mを使っていましたが、出られないバンド、モードがあって寂しかったです。(笑)
修理明細によると、「現象が再現して、周波数安定度は定格の±0.5ppmは満足しているが、電源投入直後の温度変化が大きい時に外部同期機能の周波数追従が出来ない状態だった。」との事です。
また、「MAINユ二ットの基準発振水晶を周波数安定度の高いものを選別し交換した。」との事です。基準発信水晶はTCXOの事だと思います。
さっそく、開梱、設置して電源を入れてみました。設定情報が初期化されているかもと思いましたが、ちゃんと残っていました。
ただし、外部同期が解除されていたので、外部同期に設定しました。
電源投入直後の基準周波数調整の状態です。

10分後の状態です。

以前の値を記録してなかったので比較できませんが、左側の値まで変化していたと思うので安定度が上がった気がします。
以前は3分後くらいに同期外れエラーになっていましたが、エラーは起きなくなりました。
3回ほど冷えた状態からの起動をやってみましたが問題無さそうです。
私の先の記事では「原因はTCXOの周波数変動の大きい個体があり、TCXOとしては規格(±0.5ppm以内)には入っているけど、短時間での周波数変動が大きいとファームウェアでエラーにしているのではないかと思います。」と書きましたが、ちょっと違っていて外部基準周波数追従時にPLLシンセサイザの設定値が既定の最大刻み値を超えるとエラーにするようです。
周波数が大きく変動しないようにするためだと思いますが、TCXOの規格値よりかなり厳しい値になっているようです。
なお、私のブログを見て連絡をいただいた方からの情報では10秒間で30ppb以上周波数が変動するとエラーにするとの事です。
修理明細書には他に、「今後、基準周波数外部同期機能のソフト仕様変更の予定がございます。」と書かれていて、次回ファームウエアのバージョンアップ時に周波数追従の最大刻み値を大きくするのでは無いかと思われます。(勝手な推測です。)
設計でTCXOのばらつきを考慮しきれていなかったので、ファームウェア変更で対応する事になるようです。
今後、同様の問題に関する問い合わせには、ファームウェアバージョンアップを待つようアナウンスされるのでは無いかと思います。(これも勝手な推測です。)
Facebookなどで同様の問題がある方はいないか問合せしたところ、一名の方が同様の問題があるとの事でした。ただし、その方も夏になって暑くなってから起きなくなったそうです。同じ問題が起きている方はほとんどいないようです。
この問題は外部基準信号同期を使う場合のみ起きる問題で、1200MHzのFT8をやるのでなければ(CWも?)外部基準信号は必要ないと思うので、多くの方には関係ない話ですが、解決して良かったです。
(おまけ 昔話など)
私がいた会社で最初に配属された(40年前です(^^;)事業部にはデバイス開発部という部門があって、水晶発振器の設計をやっていました。
装置を開発する際に必要な周波数の設計要求を出すと、要求に従って設計した発振器を作ってくれました。
TCXOも作ってくれますが、水晶発振器の特性に合わせた温度補償コンデンサーをどう使うかがノウハウとの事でした。
安定度を要求されると特性を測定して相性の良い水晶とコンデンサーを組み合わせますが、とても高価なTCXOになります。
他にPLL発振器も作ってましたが、これも随分高い部品でした。
アイコムは自社でTCXOを作っているのだと思いますが、今回の話からするとTCXOの温度特性は個別に測定されて記録されているようですね。
社内規格はカタログ規格より厳しいのだと思いますが、それでもばらつきがあるので、規格はずれに近いものがあると今回のような問題が起きるのでしょうね。
最近は自動測定で周波数/温度特性を測定できるので、昔より安価に安定度の高いTCXOが作れるのだと思います。
そのため、昔の無線機より今の無線機のTCXOの方が安定度が良いようです。規格は±0.5ppmですが、実力は昔より随分良くなっていると思います。
私のリグでも、IC-7000MよりIC-9700の方がずっと安定度が良いです。FT8通信ではIC-7000Mでは435MHzは周波数ドリフトが大き過ぎて通信できませんでしたが、IC-9700では外部同期無しでも435MHzまでは問題ありませんでした。
もしかすると、TCXO交換後のIC-9700は外部FANや外部同期無しでも1200MHz FT8通信が出来るようになったかも知れませんね。
(追記 8月18日の1200MHzのJT65 / FT8 / JS8 の微弱通信 送信スケジュールで試してみましたが、外部FANも外部同期も無い状態だとドリフトが大きくてうまく交信出来ませんでした。)
今日、電子センターさんから修理が終わったという電話をいただいて、引き取ってきました。
不具合現象は、IC-9700にGPSDOをつないで基準信号(10MHz)を入力して外部同期にした状態で、IC-9700の電源投入直後に同期外れエラーが出るというものでした。本体が冷えた状態で電源を入れた時のみ起こるので、私のIC-9700のTCXOの温度特性が良くないのだと思います。
サポートセンターに問い合わせたら、動作点検に出すようにとの指示だったので、7月30日に電子センターさん経由でリペアセンターに送っていました。
そして、本日、ようやく無事に帰ってきました。その間、IC-7000Mを使っていましたが、出られないバンド、モードがあって寂しかったです。(笑)
修理明細によると、「現象が再現して、周波数安定度は定格の±0.5ppmは満足しているが、電源投入直後の温度変化が大きい時に外部同期機能の周波数追従が出来ない状態だった。」との事です。
また、「MAINユ二ットの基準発振水晶を周波数安定度の高いものを選別し交換した。」との事です。基準発信水晶はTCXOの事だと思います。
さっそく、開梱、設置して電源を入れてみました。設定情報が初期化されているかもと思いましたが、ちゃんと残っていました。
ただし、外部同期が解除されていたので、外部同期に設定しました。
電源投入直後の基準周波数調整の状態です。

10分後の状態です。

以前の値を記録してなかったので比較できませんが、左側の値まで変化していたと思うので安定度が上がった気がします。
以前は3分後くらいに同期外れエラーになっていましたが、エラーは起きなくなりました。
3回ほど冷えた状態からの起動をやってみましたが問題無さそうです。
私の先の記事では「原因はTCXOの周波数変動の大きい個体があり、TCXOとしては規格(±0.5ppm以内)には入っているけど、短時間での周波数変動が大きいとファームウェアでエラーにしているのではないかと思います。」と書きましたが、ちょっと違っていて外部基準周波数追従時にPLLシンセサイザの設定値が既定の最大刻み値を超えるとエラーにするようです。
周波数が大きく変動しないようにするためだと思いますが、TCXOの規格値よりかなり厳しい値になっているようです。
なお、私のブログを見て連絡をいただいた方からの情報では10秒間で30ppb以上周波数が変動するとエラーにするとの事です。
修理明細書には他に、「今後、基準周波数外部同期機能のソフト仕様変更の予定がございます。」と書かれていて、次回ファームウエアのバージョンアップ時に周波数追従の最大刻み値を大きくするのでは無いかと思われます。(勝手な推測です。)
設計でTCXOのばらつきを考慮しきれていなかったので、ファームウェア変更で対応する事になるようです。
今後、同様の問題に関する問い合わせには、ファームウェアバージョンアップを待つようアナウンスされるのでは無いかと思います。(これも勝手な推測です。)
Facebookなどで同様の問題がある方はいないか問合せしたところ、一名の方が同様の問題があるとの事でした。ただし、その方も夏になって暑くなってから起きなくなったそうです。同じ問題が起きている方はほとんどいないようです。
この問題は外部基準信号同期を使う場合のみ起きる問題で、1200MHzのFT8をやるのでなければ(CWも?)外部基準信号は必要ないと思うので、多くの方には関係ない話ですが、解決して良かったです。
(おまけ 昔話など)
私がいた会社で最初に配属された(40年前です(^^;)事業部にはデバイス開発部という部門があって、水晶発振器の設計をやっていました。
装置を開発する際に必要な周波数の設計要求を出すと、要求に従って設計した発振器を作ってくれました。
TCXOも作ってくれますが、水晶発振器の特性に合わせた温度補償コンデンサーをどう使うかがノウハウとの事でした。
安定度を要求されると特性を測定して相性の良い水晶とコンデンサーを組み合わせますが、とても高価なTCXOになります。
他にPLL発振器も作ってましたが、これも随分高い部品でした。
アイコムは自社でTCXOを作っているのだと思いますが、今回の話からするとTCXOの温度特性は個別に測定されて記録されているようですね。
社内規格はカタログ規格より厳しいのだと思いますが、それでもばらつきがあるので、規格はずれに近いものがあると今回のような問題が起きるのでしょうね。
最近は自動測定で周波数/温度特性を測定できるので、昔より安価に安定度の高いTCXOが作れるのだと思います。
そのため、昔の無線機より今の無線機のTCXOの方が安定度が良いようです。規格は±0.5ppmですが、実力は昔より随分良くなっていると思います。
私のリグでも、IC-7000MよりIC-9700の方がずっと安定度が良いです。FT8通信ではIC-7000Mでは435MHzは周波数ドリフトが大き過ぎて通信できませんでしたが、IC-9700では外部同期無しでも435MHzまでは問題ありませんでした。
もしかすると、TCXO交換後のIC-9700は外部FANや外部同期無しでも1200MHz FT8通信が出来るようになったかも知れませんね。
(追記 8月18日の1200MHzのJT65 / FT8 / JS8 の微弱通信 送信スケジュールで試してみましたが、外部FANも外部同期も無い状態だとドリフトが大きくてうまく交信出来ませんでした。)
コメント
コメント一覧 (3)
私も電源投入時の外部同期でエラーが出ていますが、エラーが起きる経緯がよく理解出来しました。
ユーザーとしては、「何なんだよー」と言いたくなりますが、元技術者の端くれとしては、ICOMさんの技術の方の苦心が何となく理解出来ます。人からではなく、製品に叱られ教えられて改善を地道に行っていただければと願っています。
当面、1.2GHzでのFT8は行わないので、ファームウェアアップデートを気長に待つことにします。
JA4JOE
が
しました
私なら適当なところであきらめていたと思います。今のリグは昔の(開局したころ)のリグと比べるといろいろな面で天と地ほどの違いがあります。我々は半世紀のハム機器の流れを目の当たりにしたわけで幸せなハム人生(笑)だったのかもしれません。
JA4JOE
が
しました
コメント頂きありがとうございます。
エラーが出るとは言っても問題なく使えるので修理に出すつもりは無かったのですが、サポートから点検に出してくださいと言われたのでリペアセンターに送りました。
リペアセンターで現象が出たので、修理対応してくれたようです。
規格に入ってると言われて帰ってくるのではと心配だったのですが、アイコムは良い意味で昔ながらの日本の会社だと思います。
最近の無線機はSDRになって大部分がデジタル部品で構成されているので、ファームウェア修正とFPGAプログラムの修正でたいていの設計不良を改善できるので良いですね。その分複雑ですが。
現役時代、設計した装置が設計ミスで改修になると真っ青になってました。
JA4JOE
が
しました
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