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2021年11月9日追記 WSJT-X 2.5.1で画面レイアウトが少し変わったので、改版記事を書きました。今後は新しい記事を見てください。
IC-7300 + WSJT-Xで FT8 運用開始(改版2)
(元の記事も残しておきます)
6月初めにWSJT-X 2.2がリリースされて日本語表示になりました。
このため、昔書いた「IC-7300M + WSJT-X2.0で FT8 運用」を日本語版対応に改版しておこうと思います。ついでに内容も見直しておきます。
以前の記事では二つの記事に分けていましたが一つの記事にまとめて、JT_LinkerによるTurbo HAMLOGとの連携まで含めて書いています。
IC-7300 + WSJT-X2.2で FT8 運用開始
1. 事前準備(USBドライバーインストール)
(1) 環境(私の環境)
パソコン Windows10 (Windows10 デスクトップPC+液晶モニター2台)
無線機 IC-7300 (IC-7300M)

モニター画面が小さいとWSJT-Xとログソフト(私の場合Turbo HAMLOG)と並べて表示するのが難しいので、HDサイズ(1920x1024)以上のディスプレイのパソコンが良いです。可能なら2モニターにすれば、ブラウザでPSK REPORTERなども同時に見れて便利です。
(2) 必要ソフトのインストール
・IC-7300のFWをバージョンアップ
現在の最新版はV1.30です。バージョンが古い場合はバージョンアップしてください。
IC-7300M ファームウェアバージョンアップ Version1.30
・USBドライバーインストール
アイコムのページからIC-7300用のUSBドライバーをダウンロードしてインストールします。
USBケーブルは外しておく。
ダウンロードしたCD-301501-004.zipを解凍する。
Win10下のCP210xVCPInstaller_x64.exeを実行。(32ビッ トOSの場合はCP210xVCPInstaller_x86.exeを実行)
USBケーブルを接続する。
私の環境ではIC-7300MのUSBシリアルポートがCOM4になりました。

2. IC-7300の設定
以下の記事に従ってIC-7300側の設定を行います。
IC-7300でFT8運用開始 IC-7300の設定
(2021年8月追記)
IC-7300のプリセット機能を使ってFT8用の設定をする事も出来ます。IC-7300 F/W Version1.40 FT8プリセットメモリー初期値)
3. パソコンのサウンドデバイス設定
以下の記事に従って、PCのサウンドコントロールパネルでIC-7300のサウンドデバイス設定を行います。
IC-7300でFT8運用開始 パソコンのサウンドデバイス設定
4. WSJT-Xのインストール
(1) WSJT-Xのダウンロード
WSJT-Xのホームページから最新のWSJT-Xをダウンロードしてインストールします。
現時点の最新版はwsjtx-2.2.1-win64.exe または wsjtx-2.2.1-win32.exeです。自分のPCにあった方をダウンロードしてください。
私のパソコンは64bit版なのでwsjtx-2.2.1-win64.exeをダウンロードしました。
(2) WSJT-Xのインストール
wsjtx-2.2.1-winXX.exeを実行してインストールします。
最初はDesktop Icon を作ったほうが良いでしょう。

インストール先はデフォルトにしました。

スタートメニューフォルダーはwsjtx\wsjtxとしました。(バージョン付きのフォルダーにするとフォルダーが増えるので。)

5. WSJT-Xの設定
WSJT-Xの設定に関しては「WSJT-X 2.2.0 ユーザーガイド 日本語訳」に一度目を通しておくことをお勧めします。
以下は設定の例を記載しますが、私の理解不足の部分があるかも知れない事をお断りしておきます。(言い訳が先でごめんなさい。(笑))
WSJT-Xを起動してWSJT-Xの設定を行います。

以下、記述の無い設定はデフォルトで良いと思います。
ファイル→設定
・一般
コールサインとグリッドロケーターを設定します。グリッドロケーターは住所からグリッドロケーター計算で調べて入力します。

[コールサインをダブルクリックすると送信可にする] はチェックしておくとCQを出している局をダブルクリックすると応答を送信してくれるので便利です。
[73を送った後、送信を停止] 73を送出完了すると自動的に送信終了します。
・無線機
IC-7300との通信に関する設定を行います。

[無線機] Icom IC-7300 を選択します。
[シリアルポート] USBドライバーをインストールした際に割り付けられた番号です。私の環境ではCOM4です。
[PTT方式] IC-7300の設定RTSに合わせます。ポートはCAT制御と同じCOM番号です。
(2021年8月追記 IC-7300のプリセット機能を使ってFT8用の設定をした場合はCATにします。)
[モード] Data/Pktに設定しておくと自動的にIC-7300の通信モードを「USB-D」に設定してくれます。
[スプリット] 疑似スプリット
(重要)スプリットを使う事で送信オーディオ信号(DF)を常に1500から2000Hzの範囲におさめ、2倍3倍高調波を送信帯域の外に押しやることができます。結果、高調波が送信フィルターでカットされ出ていきません。スプリット機能を使うことをお勧めします。
上記までの設定後に[OK]を押していったん設定終了後に、再度設定を無線機にして[CATをテスト] ボタンをクリックして緑色になれば CATによるIC-7300の制御が出来ています。
[PTTテスト]をクリックするとIC-7300が送信状態になります。
CATが動作しない場合、いったんWSJT-Xを終了して再度起動すると上手くいくことがあります。
それでもCATが動作しない場合は、USBケーブル接続、ドライバー設定、IC-7300の設定、WSJT-Xの設定を再確認してください。
・オーディオ
サウンドデバイス関係の設定です。サウンドカードはIC-7300のサウンドデバイスを指定します。

サウンドカードの名称は先に付けたデバイス名です。
(追記)
オーディオサウンドカードの設定がDefoult Device に変わってしまう事があります。
ノートパソコンを使われている方で、ノートパソコンを持ち出す際にUSBケーブルを外した後に良く起こるようです。
突然受信できなかったり送信できない状況になった場合は、オーディオ設定を確認してください。
・Txマクロ
任意の送信メッセージを登録して送信できますが、とりあえず設定しなくて良いです。運用に慣れてきたら適当なメッセージ(例えば JCCxxxx TU73 とか)を設定して使ってください。
・レポート

[QSOをログするよう促すメッセージを出す] QSOが終了すると自動的にログ書込み確認画面が表示されます。
[PSK Reporterによるスポットをオン] PSKレポーターに送受信情報が送信されます。(後述)
[UDP server] JTAlertを使う際に設定しますが、とりあえず、すべてチェック無しにしておきます。
・周波数

[運用周波数] 国内周波数の3.531MHzと7.041MHzを追加しました。表の上でマウス右ボタンを押して挿入を選んで追加できます。
(補足)
3.573MHzと7.074MHzではJA局同士の交信が出来ません。
(アマチュアバンドプランを参照してください。)
[局情報] アンテナ情報を設定しておくと PSKレポーター(後述)に表示されます。
・色
メッセージの種類によって色分けして表示されます。

とりあえず、デフォルトでも良いと思いますが[新コールサイン]と[バンドの新コールサイン]はチェックを入れた方が良いと思います。
上記設定は私の設定ですが、新コールサインを分かりやすくするためにピンク系の色にしています。モードハイライトをチェックして新モード(FT8で交信済みだがFT4では初めてとか)も区別するようにしています。
・詳細
ここもデフォルトで良いと思います。

(補足)
[特別な運用] DXペディションがFT8のDXpeditionモードを使ってサービスされることがあります。Dxpeditionの相手(Fox)を呼ぶ場合は[Hound]をチェックします。周波数も通常の周波数を使わないので、あらかじめ運用周波数情報を入手して設定しておく必要があります。
上記設定が終わったら[OK]をクリックして設定を終了します。
念のため、WSJT-Xを終了して再起動します。
6. HAMLOGからのログ情報取り込み
新規にFT8を始められる場合は、この作業は必要ありません。次に進んでください。
過去にFT8やJT65をやられた方でTurbo HAMLOGを使われている場合、HAMLOGからADIFファイルを出力してWSJT-XのADIFファイルに上書きする事によりログ情報を取り込むことが出来ます。
別記事「ADIF Master による ADIFファイル正規化」を参照して、HAMLOGのログからADIFファイル(wsjtx_log.adi)を作ってWSJT-Xのwsjtx_log.adiに上書きします。(toshiはユーザー名なので、パソコンにより変わります。)

(追記)WSJT-XのログディレクトリはWSJT-Xから開くことが出来ます。
ファイル-->ログディレクトリを開く

7. BktTimeSyncインストール
FT8通信ではパソコンの時計を正確に合わせる必要があります。Windows10自体の時刻合わせ機能では、パソコンの時刻がずれる事があるので、時刻合わせソフトをインストールすることをお勧めします。既に桜時計などの時刻合わせソフトをを使われている方は次に進んでください。
BktTimeSyncはデジタルモード通信用に開発されたソフトなので、FT8と相性が良いです。
以下の記事を参照してBktTimeSyncをインストールしてください。BktTimeSyncはパソコンの時計をネット上の時刻サーバに合わせてくれます。
FT8通信用時刻合わせソフト BktTimeSync インストール
8. JT_Linkerインストール、設定
JT_Linkerを起動しておくことでWSJT-XとTurbo HAMLOGを連携させる事が出来ます。(JT_Linkerを使わない場合は次に進んでください。)
JT_Linkerのインストールと設定については以下を参照してください。
WSJT-XとHAMLOGを連携するJT_Linkerのインストールと設定
(2021年5月追記)
HAMLOG Ver5.32 からHAMLOG自体にWSJT-XまたはJTDXのログを取り込む機能が追加されました。
WSJT-XまたはJTDXのどちらか一方のみしか使わない場合は、HAMLOGのログ自動転送機能のほうが設定が簡単なので、JT_Linkerの代わりにそちらを使う事をお勧めします。
「WSJT-X/JTDXとHAMLOGの連携(改版2)」を参照してください。
9. WSJT-Xで通信する
(1) IC-7300側の設定
・受信フィルター設定
IC-7300のUSB-DのフィルターはデフォルトでFIL1が最も広くて1.2k(900~2100Hz)になっていますが、FT8の通信では900Hz以下や2,100Hz以上で出ている局も多いです。
そこで、FIL1のバンド幅を広げておいてFIL1で通信します。
「FIL1」長押しでFILTER設定画面を表示させて、「BW」でメインダイヤルを回してバンド幅を最大の3.6k(-300~3300Hz)に設定します。これで、3,300Hzまでの周波数が受信できるようになります。
ちなみにUSBとUSB-Dの違いは、以下らしいです。(他にもあるかも)
受信フィルターの帯域幅
送信フィルターの帯域幅
送信時自動的にマイクオフになる。
・AGC設定
AGCはFAST(AGC-F)に設定します。(FUNCTIONボタン→AGC FAST)
他にNB(ノイズブランカ)、NR(ノイズリジェクタ)はオフにします。
(補足)
FT8通信時の画面はMETER表示にしています。FT8ではスペクトラムスコープ表示は意味が無いのでALCとSWRを確認できるようにしています。(MENUボタン→METER)
(2) 通信する モード、バンドを設定
WSJT-Xで通信する モード、バンドを設定します。受信音を聞きながらバンドを切り替えれば、出ている局がいるかどうかすぐ分かります。

① 通信モードは「FT8」を設定します。
モード→FT8
② バンド
画面左中段の周波数選定BOXで運用周波数を選びます。 例では20m 14.074MHzです。
バンドを選ぶとIC-7300の周波数と通信モード(USB-D)が設定されるはずです。変わらない場合はCAT制御が上手くいっていません。
(参考)JT65/FT8運用周波数 (すべてUSBモードで運用)
1,838MHz(JT65)、1.840MHz(FT8)
1.909MHz(JT65/FT8 日本)
3.531MHz(JT65/FT8 日本)
3.570MHz(JT65 ※DX用) 、3.573MHz(FT8 ※DX用)
7.041MHz(JT65/FT8 日本)
7.074MHz(FT8 ※DX用) 7.076(JT65 ※DX用)
10.136MHz(FT8)、10.138MHz(JT65)
14.074MHz(FT8)、14.076MHz(JT65)
18.100MHz(FT8)、18.102MHz(JT65)
21.074MHz(FT8)、21.076MHz(JT65)
24.915MHz(FT8)、24.917MHz(JT65)
28.074MHz(FT8)、28.076MHz(JT65)
50.310MHz(JT65)、50.313MHz(FT8)
50.323MHz(FT8 DX用)
144.460MHz(JT65/FT8 日本)
430.510MHz(JT65/FT8 日本)
1296.60MHz(JT65/FT8 日本)
(注) 「※DX用」の周波数は国内局同士の交信は禁止
他のボタンは、とりあえず上記画面と同じ設定で始めてみてください。
③ [Tx even/1st] CQを出すときにチェックすると00秒/30秒に送信を開始します。チェックを外すと、15秒/45秒に送信を開始します。
④ [自動シーケンス] FT8では自動でシーケンスを進めるのでチェックしておきます。
⑤ [コール 1st] チェックするとCQ送信時に自動的に応答局と交信を開始します。
⑥ 右下の送受メッセージタブはタブ1(標準メッセージ生成)を選んでおきます。
TX4がRRRになっている場合は [TX4] をダブルクリックしてRR73にしてください。
(2021年9月追記 最新のWSJT-XではRRRにすると73を送らずに交信を終了する仕様になっています。JTDXの相手と交信すると問題がありますので、RR73にする事をお勧めします。)
⑦ [送信周波数固定] チェックすると送信周波数を固定します。通常はチェックしておきます。
⑧ [モニター] ON(緑)にして受信を開始します。
⑨ [送信許可] ON(赤)にして送信を開始すると指定した送信メッセージを送信します。OFFにすると送信中メッセージを送信してから送信を停止します。
⑩ [送信停止] 送信を中断します。
⑪ [メニュー] 画面が狭い場合などにメニューバーをOFFする事が出来ます。
(3) 変復調レベル調整
・変調レベル
変調レベルはWSJT-Xメイン画面の[チューン] ボタンを押すとIC-7300が送信状態になるので、 ALCメーターが振れないレベルにWSJT-Xの[電力]スライダーを調整します。
ALCメーターが大きく振れる状態で送信すると信号が歪んで子供や孫が発生する恐れがあるので振れないように調整してください。
(補足)
IC-7300側で送信音質モニターをONにして運用中の送信音を確認する事が出来ます。(FUNCTIONボタン→MONI ON)
私はモニター音量は3%でかすかに聞こえるレベルで使っています。(MULTIボタン→MONITOR)
・復調レベル
復調レベルはパソコンの録音デバイスでIC-7300を選んでレベルを調整します。受信信号が無い状態で30dBくらいになるように調整しますが、極端に大きすぎたり小さすぎたりしなければ大丈夫です。私の場合、50に設定しています。
(4) 受信

画面中央の [モニター]が緑になっていない場合はクリックして緑にして受信を開始してください。
・ウォーターフォール画面(ワイドグラフ)

受信信号をウォーターフォール/スペクトラムで表示しています。
[操作パネル] 画面が狭い場合などに、下側の設定パネルを非表示にして使えます。
[Bin数/ピクセル X ] 表示帯域を変えて3,500Hzくらいまで表示するようにします。
[開始 100 Hz] 私は100Hzからの表示にしています。
[N Avg X ] 縦方向の時間軸を調整します。数シーケンス前まで表示されるようにします。
[スペクトラム %] ウォーターフォールとスペクトラムの表示比率です。
ウォーターフォールで送受信周波数を指定することが出来ます。送信 下向き赤カッコ、受信 上向き緑カッコで表示されています。
左クリック 受信周波数
シフト+左クリック 送信周波数
コントロール+左クリック 送受周波数
・バンド状況ウィンドウ メッセージ表示
15秒毎にDecodeが実行されて左側のバンド状況ウィンドウにバンド内の通信が表示されます。
最初は、しばらく他局の交信をモニターして様子をみると良いと思います。(やり取りの流れを把握する。)
バンド状況ウィンドウの表示は時刻(UTC)、信号強度(dB)、時刻ずれ(DT)、周波数(Freq)、メッセージを表示しています。
メッセージは種類に応じて設定の「色」で設定した色で表示されます。私の設定では、以下になります。
CQメッセージが未交信局なら濃いピンク(最初はすべてのCQがピンクになるはずです)
CQメッセージがそのバンドで未交信局なら薄いピンク
CQメッセージが交信済み局なら緑
CQメッセージがNewCountry(DXCC)なら濃い紫(最初は国内局のCQも紫になるはずです)
CQメッセージがそのバンドでNewCountryなら薄い紫
自分宛のメッセージは赤
送信メッセージは黄色(受信周波数ウインドウのみ)
(補足)時刻ずれ(DT)が大きいと旨くデコードできません。複数の局がずれている場合は自分のPCの時刻が狂っている可能性があるので調整が必要です。(BktTimeSync使用の場合、Sync Nowで時刻合わせが実行されます。)
・受信周波数ウインドウ
ウォーターフォールを左クリックすると受信周波数が移動します。受信周波数の受信メッセージが受信周波数ウインドウに表示されます。
(5) 交信(CQへの応答)
最初はCQを出している局を呼んでみてください。

・ウォーターフォール上でシフト+左クリックをして、空いている周波数に送信周波数を設定します。
・バンド状況ウィンドウで直前にCQを出している局をダブルクリックします。 [送信許可] が赤に変わります。受信周波数がCQ局の周波数になって、相手のメッセージが受信周波数ウィンドウに表示されるようになります。
・次の15秒間で自動的にコールサインと自分のグリッドロケーターが送信されます。(Tx1の内容)
(ダブルクリックが遅れると途中からメッセージを送るので正常なメッセージが送れません。次の回で正常なメッセージが送られることになります。)
・相手が応答してくれれば、自動的にシグナルレポートが送られます。
相手の応答が他局あての場合は [送信停止] を押して中止してください。
・次の15秒で応答(RR73など)が返り、自動的に73が送られます。
・途中、相手からのメッセージを受信できない場合や同じメッセージが返った場合は次のメッセージが返るまで同じメッセージが送信されます。
(交信のパターン)
1. CQ K1ABC FN42
2. K1ABC G0XYZ IO91
3. G0XYZ K1ABC -19
4. K1ABC G0XYZ R-22
5. G0XYZ K1ABC RR73
6. K1ABC G0XYZ 73
なお、[送信周波数固定] のチェックを外していると送信周波数が自動的に受信周波数に合わせられます。
通常は他局と被らないように空いている周波数に固定して通信します。
(補足1)
メッセージでCallSign/1のような形式の場合CQにGridが付きません。CallSign/1のようにコールサインが長いとメッセージに収まらずGridが省略されます。
CallSign/1の形式のコールサインはCQ以降のメッセージはコールサインの代わりにハッシュコードを送って同じコールと認識して表示します。
なお、CallSign/P形式のコールを送る場合はGridを付けることが出来ます。
こういう局は一連のシーケンスの最後にJCCコードなどを送ってこられる場合があります。
(補足2 ちょっと重要)
通常、FT8では同一モード&同一バンドで交信済みのCQ局を呼ぶことはしません。WSJT-Xでは新バンドのNew Call CQが色分け表示されるので、同一モード&同一バンドで交信済みのCQ局は呼ばないようにした方が良いと思います。
(6) CQ送出による交信
・[コール 1st] をチェックしておきます。
・ウォーターフォール上でシフト+左クリックをして空いている周波数に送信周波数を動かします。
・送信メッセージタブで [TX6](CQ)を押します。
・[送信許可]を押して送信を開始します。
・応答があれば、自動的にシーケンスが進みます。
・応答がない場合はTx watchdogで設定した時間(6分)CQを繰り返します。
・途中、相手からのメッセージを受信できない場合や同じメッセージが返った場合は、次のメッセージが返るまで同じメッセージが送信されます。

(補足 ちょっと重要)
Eスポシーズンの50MHzなどDX通信の多いバンドでCQを出す際はODD(15/45秒 )でCQを出すのが慣例になっています。CQは[Tx even.1st]のチェックを外してODDで出すようにしましょう。
これは、EVENでCQを出すと距離の近いローカル局の受信を妨害しやすいので、その対策です。
(7) ログ
交信終了後(73送出後)、ログ書込み確認画面が表示されます。

OKを押すとWSJT-Xのログが書込まれて既交信局の区別に使われます。
JT_LinkerによりTurbo HAMLOGと連携している場合はHAMLOGにデータが送られます。
HAMLOGで [はい] を選ぶとログが記録されます。必要に応じて [キャンセル] で情報を修正して記録してください。

10. JTALertによるFT8運用環境の向上
WSJT-Xと合わせてインストールする事で運用が便利になるソフトがあります。特にJTAletrtを使う事でeQSLの自動発行が出来るのでとても便利です。
以下の記事を参考にしてください。一部内容が古いものもありますが、参考になると思います。(^^;
(1) WSJT-X/JTDX+JTAlertによるFT8運用環境向上(改版2)
JTAlertはWSJT-Xにプラスして使う事で初バンドまたは初モードのCQ局があれば音声で教えてくれるなど、とても便利なソフトです。
また、電子QSLを自動的に発行する事ができます。インストールと運用方法について記載しました。
(2) FT8運用環境向上 eQSL登録
JTAlertを使って電子QSLが発行できるようにeQSL.ccに登録しました。登録手順と運用について記載しました。
(3) FT8運用環境向上 QRZ.com登録
JTAlertXに相手のQRZ.com情報が表示されるようにするためにQRZ.comに登録しました。登録手順を記載しました。
(4) FT8運用環境向上 LoTW登録
JTAlertでは相手局がLoTWとeQSLのメンバーかどうかを表示してくれますが、DX局はLoTWのみの局も多いのでLoTWにも登録しました。登録手順と運用について記載しました。
11. その他情報
(1) PSKレポーター
WSJT-Xの(レポート)設定で [PSK Reporterによるスポットをオン] をチェックしておくと、PSKレポーターに送受信局情報が送信されます。
PSK Reporter

自分の情報が世界地図に表示されます。他の局の情報も表示されるので、相手から自分が見えているかなどが分かります。
他局の通信ソフトの情報も分かるので、WSJT-XとJTDXのどちらを使っている局が多いかなども分かります。
(補足)
超ローカル局が同じグリッドロケーターのため、PSKレポーターの画面で重なってしまうという問題がありました。
このため、現在はグリッドロケーターを8桁にしています。
JTDX、WSJT-X PSK Reporter表示重なり対策 グリッドロケーターを8桁にしました。
(2) WSJT-Xログ (ユーザーディレクトリ\AppData\Local\WSJT-X\wsjtx_log.adi)
WSJT-Xでは、QSOのログをwsjtx.log(CSVフォーマット)とwsjtx_log.adi(標準ADIFフォーマット)へ記録します。
ADIFファイルは交信済みの判定に使われますが、これが壊れて読み込みエラーが起こったという方がいるようです。
HAMLOGでADIFファイルを作り直してリネーム、コピーしてみる。ADIF Master による ADIFファイル正規化をやってみる。などの対処方法があります。
(3) ALL.TXT (ユーザーディレクトリ\AppData\Local\WSJT-X\ALL.TXT)
WSJT-Xのデコード情報、送信情報が記録されています。
ログに無い相手からQSLカードを受取った時などの調査に使えます。WSJT-Xを長く使うと大きなファイルになるので、DISK容量不足の場合は時々削除すると良いかも知れません。
(4) 複数のリグ切換え
複数のリグを一台のPCにつないで切替えて使う事が出来ます。
WSJT-X 複数リグ接続 切替え IC-9700追加
(5) FT8 無線局免許申請
2020年4月の省令によりデジタル通信の免許申請が簡素化されて、届出時に「15 備考」に「デジタルモードのため付属装置(PC)を追加する。」と書くだけで良くなりました。(現在の免許状に電波形式 F1D が入っている必要があります。)
FT8関係 1.8/3.5MHz帯がバンド拡張、免許手続き簡素化
(6) FT8通信のQSLカード発行
FT8の紙QSLカードの内容について聞かれたので書いておきます。私のQSLの文面です。

RSTはdBにdB値 -08を書いています。
カードはHAMLOGのQSLカード印刷機能を使って印刷しています。以下に私の印刷用マクロを載せておきます。参考にしてください。
HAMLOG_QSLprint.qsl
あと、私のFT8通信の紙カードQSLの発行作業について「WSJT-X+JTAlertによるFT8運用環境向上(改版)」の最初に書いたので参考にしてください。
例によってずいぶん長い記事になってしまったので、目次を付けました。(^^;
梅雨に入って畑仕事が出来ないので、暇に任せて頑張ってしまいました。(笑)


コメント
コメント一覧 (3)
WSJT-Xの設定-無線機のPTT方式ですが、私はCATを選択してます。私の環境ではRTSにするとリグから送信しません。今、酒が入っているので調べる気力がないのですが、リグ側の設定が違うのでしょうね?
JA4JOE
が
しました
梅雨で暇なので改版しました。
今日も雨なので、WSJT-Xに続いてJTDXの運用開始も見直そうと思っています。比べると日本語表記が微妙に違いますね。英語版は同じなのに。
日本語化はそれぞれ別のグループでやったのでしょうかね。統一して欲しかったです。
PTTはCATでも良いと思います。たぶん、リグ側の設定(USB SEND)がRTSになってないんでしょう。
JA4JOE
が
しました
PTTの件ですが、おっしゃる通り私のリグ設定がUSB SEND:OFFになってました。
通常は英語表記で使ってますが、意味の分からないところがあったときに日本語表記に切り替えて確認しています。そういうところが便利ですね。
JA4JOE
が
しました
(お願い)質問はメールではなく、コメントでお願いします。