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(2025年1月5日)FreeDVにRADEモードが追加されて音質が格段に良くなりました。新しい2.0.0-devel対応の記事を書きました。

(旧記事も残しておきます。)
今日は朝から雨です。九州南部は昨日梅雨入りしたそうで、山口県の梅雨入りも例年より早くなりそうです。
2週間天気予報を見ると晴れる日がほとんどありません。野菜が日照時間不足で育ちが悪くなりそうです。(-_-;)
今日は百姓は休みで暇なので、そのうち改版しようと思っていたFreeDVの改版記事を書いておきます。

3月に書いた「IC-7300でFreeDV開始(設定情報)」ですが、その後FreeDVのソフトがバージョンアップされてメイン画面の構成が変わっています。
[Tx Attenuation] が追加されて送信オーディオレベルをFreeDVの画面で調整できるようになりました。
FreeDV1.png
FreeDV1.5.2から1.5.3の主な変更は以下です。
・すべてのHFモード(700C / D / E、1600、2020)の同時デコード
・メイン画面にTXレベルのスライダーを追加

ここから改版記事です。
最初にFreeDVをインストールします。
FreeDVはJH0PCFさんが公開されているFreeDV運用ガイド新しテストバージョンについてにある「FreeDV-1.5.3-devel-20210418-win64.exe」を使いました。

まずIC-7300側の設定です。
パソコンとIC-7300の接続はFT8と同じUSBケーブルです。IC-7300側の設定はFT8の場合とほとんど同じですが、FT8プリセットから一部変更が必用でした。
FT8と切り替えて使えるようにFreeDV用プリセットを作りました。
FreeDV2.png
・モード FreeDVは3.5MHz、7MHzではLSBで使うのでLSB-Dを設定しました。14MHz以上では手動でUSBーDにします。
・CI-V USBエコーバック WSJTX、JTDXではOFFで問題なかったのですが、なぜかONにしないと駄目でした。

CI-Vエコーバックの件は先の記事「IC-7300 プリセット機能 USB CI-V エコーバック問題」を参照してください。

次にFreeDV側の設定です。
スピーカー、マイクはUSB接続のスピカーと、FreeDV用に購入した卓上コンデンサーマイクを使います。
Audio Configでオーディオの入出力設定を行います。パソコン側のサウンドデバイス設定はFT8の設定を参考にしてください。IC-7300でFT8運用開始 パソコンのサウンドデバイス設定
FreeDV3.png
受信側設定です。リグ側入力をIC-7300、パソコン側出力をUSBスピーカーにしています。
FreeDV4.png
送信側設定です。パソコン側入力をマイク入力ジャック、リグ側出力をIC-7300にしています。
FreeDV5.png
Sample Rateはデフォルトの44100Hzにしました。(実際のサウンドデバイスの設定は48000ですが問題ないようです。)
なぜアプリ側にSample Rate設定があるのでしょう。(・・?

FT8と違ってマイク、スピーカーを使うのでパソコン側だけで4つのサウンドデバイスを設定する必要があります。レベル設定もパソコン側4か所、リグ側2か所を設定するので調整が難しいですね。
パソコン側のマイクレベルの設定は私の場合90に設定していますが、使うマイクに合わせて調整してください。

次はPTT Configの設定です。
PSKReporterにGrid情報をアップするためには、Use Hamlib PTTにしてCI-Vでリグの周波数情報を読み込む必要があります。
FreeDV4.png
私の環境ではCOM4がIC-7300のUSB CI-V のポート番号です。
前述したように、最初エラーになっていましたが 「CI-V USBエコーバック」をONにしたら動くようになりました。
Radio Address(アイコムの場合 CI-Vアドレス)を設定するようになっていますが、Rig Modelを設定すれば決まるはずなので、なぜ設定があるのか謎です。(・・?
WSJT-X、JTDXと同じHamlibを使っているのに、エコーバックの件など違うところが多いですね。
IC-7300以外のアイコム機を使われる場合は、説明書に書いてあるCI-Vアドレスを設定してください。

OptionsのReporting設定はPSK Reporter を使う設定にしました。
FreeDV5.png
Txt Msgを設定すると交信中にTxt Msgが送られるようです。Txt Msgは[Enable Rporting] のチェックを外すと入力できます。
Txt Msgを受信するとFreeDVのメイン画面の一番下のボックスに表示されますが、エラーチェックが無いので文字化けする事が多いです。
あと、PSK ReporterへのGrid情報の送信タイミングは、FreeDVが受信した相手局のレポートを上げる時に自局の情報も上げるようです。
PSK Reporter の設定をしてる局をしばらく受信していると表示されるようになります。
これだと他局のFreeDV信号を受信しないとGrid情報が上がらないので、出ている局が少ないPSK Reporterではあまり意味が無い気がします。
あと、WSJT-Xの様にアンテナ情報を上げるようになっていませんが、FT8で直前に上がった情報が表示されます。このため、私の7.2MHzのアンテナが「10ele YAGI」になってしまいました。(笑)


Modem設定は以下にしました。FreeDV運用ガイド 交信の準備設定についての「ツール-オプションダイアログ」を参考に設定しました。
FreeDV6.png
Multiple RX OperationはFreeDV1.5.3で追加された機能でチェックすると、すべてのHFモード(700C / D / E、1600、2020)の同時デコードが行われます。国内では700Dしか使われていないので同時デコード機能はOFFにしています。

Reporting、Modem以外の設定はデフォルトのままにしました。

Filter設定は以下のようにしました。FreeDV運用ガイド 交信の準備設定についての「ツール-フィルター」を参考に設定しました。
実際にQSOして調整のアドバイスをいただき、現在は以下の設定になっています。
FreeDV7.png

次に送受信のレベル調整を行います。私の環境では以下の値にしています。
受信
 リグ側入力   IC-7300 ACC/USB AF出力レベル       50%
         パソコン録音デバイス IC-7300 レベル     10%
 パソコン側出力 パソコン再生デバイス USB スピーカー    適宜調整
 
送信
 パソコン側入力 パソコン録音デバイス コンデンサーマイク  90%
 リグ側出力   IC-7300 USB変調入力レベル          50%
         パソコン再生デバイス IC-7300 レベル    50%

受信リグ側入力のレベルはFT8の時と同じにしています。
送信パソコン側マイク入力は実際に交信して調整しました。FreeDV運用ガイド 実際の交信の「マイクレベル調整」では「平均レベルを±0.2程度に、ピーク値で±0.3程度になるようににマイク入力レベルを調整します。」と書かれていますが、現在はマイクのボリュームで平均で±0.4くらいになるよう調整しています。
リグ側出力はFreeDVを送信状態にしてALCが振れないレベルに[Tx Attenuation]スライダーで調整します。

(補足)
先の記事で「FreeDVでは長時間連続で送信する事になるので、送信電力は無線機の定格の半分くらいで使用したほうが良いです。」と書きましたが、FreeDVでは無線機の設定電力の1/4くらいの平均電力になるようです。FT8のようにフルパワーで送信する訳では無いので長時間連続送信のファイナルへの負担はあまり気にしなくて良いようです。

以上で設定完了です。

最後にFreeDVの画面の説明を書いておきます。
FreeDV8.png
最初にModeを設定します。主に①700Dが使われています。
次に②STARTをクリックすると受信が始まり、ボタンが②Stopに変わります。グラフ画面にはウォーターホールが表示されます。
グラフ表示は下のタブで選択できます。通常はWaterfallを表示すれば良いと思います。To Spkr/Hdphnsを表示すると相手の音声レベルを見る事が出来ます。下のタブを左クリックでつかんでグラフの上側で離すと画面を分割して表示します。(覚えておいてくれないのが残念ですが)
②Stopを押すと受信が停止します。
③PTTをクリックすると送信が始まります。グラフ表示はFrm Micを表示し、自分のマイクレベルが分かります。
なお、カーソルがFreeDVのウィンド上にある状態でキーボードのSpaceキーを押すと送信/受信を切り替える事が出来ます。交信中にマウスを使いたくない場合はSpaceキーを使うと良いでしょう。(Spaceキーを押して連続送信してしまった事故がありました。
④TX Attenuationで送信電力の調整が出来ます。送信状態で無線機のALCが振れないレベルに調整てください。

その他、
SNR   受信信号のSNRを表示します。0以下だと復調できません。5程度より上なら安定した音声が聞えます。
Squelch  ここで設定した値より低いSNRの信号はスピーカーに出力されません。 
Level   送信時の音声レベルを表示します。大きい音が入るとToo Highが表示されるのでToo Highにならない程度の声で話してください。

使わないと思う機能、
SPLIT  無線機のSPLIT機能を使って送受信周波数を変えて通信できます。
Analog 無線機の受信音がデコードされずに聞こえます。送信はエンコードされずに送信されます。
Voice Keyer Tools/Options/Voice Keyerで指定した音声ファイルが送信されます。

実際の交信は先の記事「FreeDVをやってみた」で書いたように定時交信の時間に指定周波数を聞いて、出られている方がいれば呼べば良いと思います。誰も出られていなければCQを出してみれば良いです。
聞いている局がいるかどうかはPSKReporterでFREEDVを指定してFREEDV局を表示してみるのが良さそうですが、PSKReprterを使われていない方も多いようです。

(おまけ)
HAMLOGへのログ記録
FREEDVモードはeQSLやLoTWへの登録が出来ないので「DIGITALVOICE」として登録しています。
このため、HAMLOGへもDIGITALVOICEで記録しています。
また、His/MyのレポートはSNRを記録しています。
FreeDV9.png
QSLカードはHAMLOGのマクロでモードがDIGITALVOICEの場合はFreeDVに変換して印刷するようにしました。レポート欄はSNRになるようにしています。
(2023年10月追記)
2022年12月リリースのADIF仕様でFREEDVが追加されて、FreeDVはMode=DIGITALVOICE/Submode=FREEDVになりました。このため、HAMLOGへの記録は「FREEDV]にすると良いと思います。