2020年に書いた記事を見直して改版しておきます。

ADIF(Amateur Data Interchange Format) はアマチュア無線のログデーターを交換するための共通フォーマットです。
eQSL.ccやLoTWへのログアップロードに使う他、WSJT-X、JTDXのログ(wsjtx_log.adi)はADIFで記録されます。
現在の最新仕様はVersion 3.14です。


WSJT-XやJTDXを新規インストールした場合などに、HAMLOGからADIFファイルを出力してWSJT-X、JTDXのログとして使えば過去のログを取り込む事が出来ます。
HAMLOGのログデーターにADIF仕様に無いモードなどが記録されているとADIFファイルの読み込みでエラーが起きるので、ADIF Masterで仕様違反のログを除去して使います。

以下、ADIF Masterのインストール、設定とHAMLOGから出力したADIFファイルのフィルタリング処理(ここでは正規化と呼びます。)について記載します。



1. ADIF Masterダウンロード

ADIF Master はADIFファイルの閲覧、編集を行う事が出来るソフトです。この記事ではフィルタリング機能を使いますが、LoTWやeQSLへのログアップロード用に特定の期間や特定のモードを書き出してアップロードするような使い方も出来ます。

ADIF Master をダウンロードします。
ADIFMaster1
最新版はVersion 3.5でした。


2. ADIF Masterインストール、設定

ダウンロードしたADIFMasterSetup.zipを解凍し、Setup.exeを実行してADIF Masterをインストールします。
プログラムのインストール先はデフォルトにしました。
ADIF3.PNG
最初なのでデスクトップにアイコンを作ります。
ADIF4.PNG
インストールしたADIF Masterを起動します。
ADIF12.PNG
最初にModesにFT4を追加しておきます。本来FT4はSUBMODEですが、HAMLOGではMODEとして記録されているのでMode FT4を追加します。(HAMLOG Ver5.45 からFT4、Q65はSUBMODEが出力されるようになりました。)
Settings --> Modes [Add]でFT4を追加します。
ADIFMasteer1.png
WSJT-XではFST4、Q65モードもあるので、それらも追加します。
(D-STARのログがある場合はDSTARも追加します。)
[Save] して、いったんADIF Masterを終了します。

3. HAMLOGからのADIFファイル出力

HAMLOGからADIFファイルを出力する手順です。
HAMLOG画面で、検索→ [複合条件検索と印刷] を選びます。
出力ファイル名は wsjtx_log.adi にします。
[レコード番号] を1からに設定、出力先を [ADIFファイル] を選択、[全角を除く] 、「GRIDSQUARE:」をチェックして、[検索無しボタン] を押します。
ADIFMaster2
ADIFファイル内に漢字が入っていると問題が起きることがあるので [全角を除く] にしています。

HAMLOGのフォルダ内に wsjtx_log.adi が作成されます。
ADIFMaster3


4. ADIFファイルの正規化

HAMLOGで出力したADIFファイル(wsjtx_log.adi)をダブルクリックしてADIF Masterで開きます。
ADIFMaster4
続けてADIFファイルを上書きします。
File -->Save as
ADIFMaster5
エラー無しで上書きできれば完了です。
ADIF仕様に合わないログがあると、エラーログは削除されて上書きされます。エラーログの情報は「ファイル名.adi.log」というファイルに残されます。
試しにModeにFT4を追加する前に上書き保存して出来たエラーログ情報です。
ADIF10.PNG
新しいADIFファイルにはこの情報は残ってないので必要な情報なら再度、HAMLOGからADIFを出力してADIF Masterで編集してください。
DVモードなどFT8(デジタル通信)以外で無くても困らないログ情報なら、そのまま使ってください。

以上でHAMLOGからのADIFファイル出力とADIF Masterによる正規化は終了です。
wsjtx_log.adiをWSJT-X、JTDXのログディレクトリに上書きコピーすればHAMLOGのログを引き継げます。
JTAlertのADIFファイルとして使う場合は、HAMLOGから出力した wsjtx_log.adi をJTAlertのデーターフォルダーにコピーして「log.adi」にリネームします。(2024年2月 追記)

正規化したADIFファイルは、JTAlert、WSJT-X、JTDXのADIFファイルとして使っても問題は起きないものになります。JT_Linkerからの参照も問題ありません。(私の経験範囲内ではです。(^^;)


(おまけ)
・FT8(デジタル通信)以外のモード

FT8開始のお手伝いをした方で、CW、AM、SSB、FMなどのモードをA1A、A3E、J3E、F3Eなどのモード表記で記録されている方がいらっしゃいました。
私も以前はDSTARをDVとして記録していました。
ADIF仕様から外れるモード表記はエラーになるので、HAMLOGにはSSB、CW、FM、DSTARなどで記録してください。
なお、HAMLOGの「文字列の置換」でモード表記を置換する事ができます。
 オプション→データの保守→文字列の置換
ADIFMaster6
(参考)私はログ情報をHAMLOGに合わせる目的で、月1回程度HAMLOGのログからADIFファイル(wsjtx_log.adi)を出力して正規化後にWSJT-X、JTDX、JTAlertのADIFファイルを置換えています。
参考記事:WSJT-XとJTDXのログファイル共有
このため、モード表記はADIF仕様に合わせた表現でHAMLOGに記入しています。

・SUBMODE
デジタル通信モードではMODEがMFSKで、個別にSUBMODEで指定するモードがあります。
WSJT-Xにあるモードでは以下のようになります。
MODE SUBMODE
FST4 MFSK FST4
FT4 MFSK FT4
Q65 MFSK Q65
FST4W MFSK FST4W

これらのMODEは本来、MODE+SUBMODEで指定しないといけないのですが、HAMLOGのADIF出力ではSUBMODEでは無くてMODEとして出力されます。
本来はHAMLOGでMODE+SUBMODEで出力するべきだと思いますが、eQSLやLoTWはMODEにSUBMODEを設定しても、MODE+SUBMODEと解釈するので問題は起きません。WSJT-XやJTDXもMODEとしてFT4などがあっても大丈夫です。
(2024年12月 HAMLOG Ver5.45 からFT4、Q65はSUBMODEが出力されるようになりました。HAMLOG ADIF出力でSUBMODEに対応
(参考)
DIGITALVOICEにもSUBMODEがあります。
MODE SUBMODE
D-STAR DIGITALVOICE DSTAR
C4FM DIGITALVOICE C4FM
FreeDV DIGITALVOICE FREEDV

(HAMLOG Ver5.45 からD-STAR、C4FM、FreeDVはSUBMODEが出力されるようになりました。)

・ADIF Masterで特定モードを出力
ADIF Masterの編集機能を使って特定の通信モードのログのみ出力する手順を書いておきます。
ADIF MasterでADIFファイルを開きます。
[MODE] の上で左クリックして [Sort This Column] を選びます。

ADIFMaster7
DIGITALVOICE(FreeDV)を出力してみました。
DIGITALVOICEのログを選択して、選択エリアで右クリック→[Save Selected Rows AS ADIF] を行います。
ADIFMaster8
適当な名前を付けて保存します。
ADIFMaster9
FreeDVのみのログが出力されます。

(2023年6月26日)非デジタルモードのみのログを抽出する方法の記事を書きました。


(2024年11月11日)HAMLOGからSUBMODEを出力する方法の記事を書きました。