2023年1月に書いた「IC-7300 + WSJT-Xで FT8 運用開始(改版3)」の改版記事です。
2025年2月に正式リリースされた WSJT-X 2.7.0 GA版ではSuper Foxモードが追加されて一部画面の変更がありましたが、本記事はそのままになっていました。
今回、時間があったので内容の見直しとWSJT-X画面の差し替えを行いました。
FT8用通信ソフトはメジャーなものとしてWSJT-X、JTDXがありますが、私はJTDXをメインで使っていて、WSJT-XはコンテストやQ65モードの通信で使っています。
個人的にはJTDXの方がデコード性能が高く、ユーザーインターフェースもJTDXが使いやすいと思っています。
JTDXを使いたい方は FT8運用開始 JTDX+HAMLOG を見てください。
(ここから本文)
・SSBモードのある無線機とアンテナ
この記事ではIC-7300を例にして説明します。IC-7300以外の無線機の設定はJTDXの記事を参考にしてください。 IC-7300以外の無線機を使う場合(参考情報)
・Windows11パソコン
Windows7、Windows8、Windows10でも動きますが、Windows11を推奨します。
(Windows10は2025年10月でサポート終了になります。)
ディスプレイはHDサイズ以上を推奨します。
・USBケーブル(A-Bタイプ)
無線機とパソコンを接続します。
送信電波のUSBケーブルへの回り込みでエラーが起きる事があります。そういう場合はフェライトコア(パッチンコア)を入れて対策します。
(おまけ)サムネイル用画像
私の無線機とパソコンです。

モニター画面が小さいとWSJT-Xとログソフト(私の場合Turbo HAMLOG)を並べて表示するのが難しいので、HDサイズ(1920x1024)以上のディスプレイのパソコンが良いです。可能なら2モニターにすれば、ブラウザでPSK REPORTERなども同時に見れて便利です。
(2) 必要ソフトのインストール
・IC-7300のFWをバージョンアップ
FWはVersion1.42が最新です。(2025年6月時点)バージョンが古い場合はバージョンアップしてください。バージョンアップ手順は以下を参考にしてください。
IC-7300M ファームウェアバージョンアップ Version1.30
・USBドライバーインストール
アイコムのページからIC-7300用のUSBドライバーをダウンロードしてインストールします。
参考:USBドライバーインストールガイド(USB3.0対応版) ダウンロード
USBケーブルは外しておく。
ダウンロードしたCD-301501-004.zipを解凍する。
Win10下のCP210xVCPInstaller_x64.exeを実行。(32ビッ トOSの場合はCP210xVCPInstaller_x86.exeを実行)
USBケーブルを接続する。
私の環境ではIC-7300MのUSBシリアルポートがCOM4になりました。

(補足)Windows11でUSBドライバーのインストールに失敗する場合は以下の記事を参照してsilabser.infからインストールしてください。
アイコムのUSBドライバーがインストールできない
(補足)アイコム、八重洲、KENWOODの複数メーカーの無線機を同じPCに接続して使う場合は、シリコンラボのページから最新の CP210x ユニバーサル Windows ドライバー をダウンロードしてインストールする方が良いかも知れません。
・OpenSSLのインストール
最新のWSJT-XではOpenSSL v1.1.1以上が必要です。
OpenSSLがインストールされていない場合は以下記事を参考にしてインストールしてください。(2025年7月20日追記)
IC-7300、IC-9700、IC-705ではFT8用プリセットメモリーがあるので、FT8通信時にプリセットメモリーを読み込んでください。
IC-7300の[MENU]ボタンを押して②にある[PRESET]を選びます。

初期状態では「通常」と「FT8」が用意されています。

「2.FT8」のプリセットを読み込みます。

「FT8」が使用中になります。

以上でIC-7300のFT8用設定が出来ます。
(参考)IC-7300のFT8プリセットメモリーの内容は以下を参照してください。
IC-7300 F/W Version1.40 FT8プリセットメモリー初期値
Windows 10 IC-7300でFT8運用開始 パソコンのサウンドデバイス設定
Windows 11 FT8運用開始 パソコンのサウンドデバイス設定(改版)
WSJT-Xのホームページから最新のWSJT-Xをダウンロードしてインストールします。
現時点の最新版はwsjtx-2.7.0-win64.exe または wsjtx-2.7.0-win32.exeです。自分のPCにあった方をダウンロードしてください。
私のパソコンは64bit版なのでwsjtx-2.7.0-win64.exeをダウンロードしました。
(2) WSJT-Xのインストール
wsjtx-2.7.0-winXX.exeを実行してインストールします。
一回目はDesktop Icon を作ったほうが良いでしょう。

インストール先はデフォルトにしました。

スタートメニューフォルダーはwsjtxとしました。(バージョン付きのフォルダーにするとフォルダーが増えるので。)

WSJT-Xを起動してWSJT-Xの設定を行います。

以下、記述の無い設定はデフォルトで良いと思います。
ファイル→設定
・一般
自局コールサインとグリッドロケーターを設定します。グリッドロケーターは住所からグリッドロケーター計算で調べて入力します。

[新しいデコードメッセージはウィンドウの上から表示] をチェックするとバンド状況ウィンドウに表示されるデコードメッセージが次のシーケンスまでスクロールされなくなります。1シーケンスの受信数が多くて画面がスクロールして見にくい場合はチェックすると良いです。
[73を送った後、送信を停止] 73を送出完了すると自動的に送信終了します。
・無線機
IC-7300との通信に関する設定を行います。

[無線機] Icom IC-7300 を選択します。
[シリアルポート] USBドライバーをインストールした際に割り付けられた番号です。私の環境ではCOM4です。
[ボーレート] アイコム機では19200bpsが最大なので19200にしました。
[PTT方式] IC-7300のプリセット機能を使ってFT8用の設定をした場合はCATにします。
[モード] Data/Pktに設定しておくと自動的にIC-7300の通信モードを「USB-D」に設定してくれます。
[スプリット] 疑似スプリット
(重要)スプリットを使う事で送信オーディオ信号(DF)を常に1500から2000Hzの範囲におさめ、2倍3倍高調波を送信帯域の外に押しやることができます。結果、高調波が送信フィルターでカットされ出ていきません。スプリット機能を使うことをお勧めします。
上記までの設定後に[CATをテスト] ボタンをクリックして緑色になれば CATによるIC-7300の制御が出来ています。
[PTTテスト]をクリックするとIC-7300が送信状態になります。(アンテナかダミーロードを接続しておいてください。)
CATが動作しない場合、いったんWSJT-Xを終了して再度起動すると上手くいくことがあります。
それでもCATが動作しない場合は、USBケーブル接続、ドライバー設定、IC-7300の設定、WSJT-Xの設定を再確認してください。
[Update Hamlib] CAT制御用ライブラリ Hamlib 最新にする事が出来ます。
使っている無線機と現在のhamlibで問題が起きていなければ、バージョンアップの必要はありません。
・オーディオ
サウンドデバイス関係の設定です。サウンドカードはIC-7300のサウンドデバイスを指定します。

サウンドカードの名称は 3. パソコンのサウンドデバイス設定で付けたデバイス名です。
任意の送信メッセージを登録して送信できますが、とりあえず設定しなくて良いです。運用に慣れてきたら適当なメッセージ(例えば JCCxxxx TU73 とか)を設定して使ってください。

・レポート

[QSOをログするよう促すメッセージを出す] QSOが終了すると自動的にログ書込み確認画面が表示されます。
[dBレポートをコメントに追加] ログにコメントとしてdBレポートが追加されます。参考: eQSLへのコメント入力
[PSK Reporterによるスポットをオン] PSKレポーターに送受信情報が送信されます。(後述)
[UDPサーバー] JTAlertを使う際に設定しますが、とりあえず、すべてチェック無しにしておきます。
・周波数

[運用周波数] 国内周波数の3.531MHzと7.041MHzを追加しました。表の上でマウス右ボタンを押して[挿入]を選んで追加できます。

[削除] 選択した周波数を削除します。無線機が対応していない周波数を削除しておくと良いです。
[挿入] 新しい周波数を追加します。
[読み込み] 保存した周波数テーブルを読み込みます。
[名前を付けて保存] 保存する周波数をマウスで選択してファイルに保存します。
全部の周波数を選択して保存すればバックアップが取れます。
[結合] 現在のテーブルと読み込んだテーブルを結合します。
[リセット] 周波数テーブルを初期値にします。
[Pref]をチェックした優先周波数にはメイン画面でバンド選択する際に*が表示されます。
[局情報] アンテナ情報を設定しておくと PSKレポーター(後述)に表示されます。
(参考)JT65/FT8運用周波数 (すべてUSBモードで運用)
1,838MHz(JT65)、1.840MHz(FT8)
1.909MHz(JT65/FT8 日本)
3.531MHz(JT65/FT8 日本)
3.570MHz(JT65 ※DX用) 、3.573MHz(FT8 ※DX用)
7.041MHz(JT65/FT8 日本)
7.074MHz(FT8 ※DX用) 7.076(JT65 ※DX用)
10.136MHz(FT8)、10.138MHz(JT65)
14.074MHz(FT8)、14.076MHz(JT65)
18.100MHz(FT8)、18.102MHz(JT65)
21.074MHz(FT8)、21.076MHz(JT65)
24.915MHz(FT8)、24.917MHz(JT65)
28.074MHz(FT8)、28.076MHz(JT65)
50.310MHz(JT65)、50.313MHz(FT8)
50.323MHz(FT8 DX用)
144.460MHz(JT65/FT8 日本)
430.510MHz(JT65/FT8 日本)
1296.60MHz(JT65/FT8 日本)
(アマチュアバンドプランを参照してください。)
・色
メッセージの種類によって色分けして表示されます。

とりあえず、デフォルトでも良いと思いますが [新コールサイン] と [バンドの新コールサイン] はチェックを入れた方が良いと思います。
上記設定は私の設定ですが、新コールサインを分かりやすくするためにピンク系の色にしています。モードハイライトをチェックして新モード(FT8で交信済みだがFT4では初めてとか)も区別するようにしています。
[LoTWユーザー]をチェックするとLoTWユーザーのCQメッセージの文字が色付きで表示されます。LoTWでのアワードを狙う場合はLoTWユーザーを呼ぶ必要があるので、チェックしておくと良いと思います。
[Highlight also messages with 73 or RR73] をチェックすると73とRR73メッセージもCQと同じ色付きで表示されるようになるので、73とRR73のタイミングを狙っての呼出しがやり易くなります。
[LoTWユーザー確認] LoTWユーザー表示を利用する場合は、下のLoTWユーザー確認の[データ取り込み]で最新の lotw-user-activity.csv を読み込んでおいてください。(定期的に読み込むと良いです。)
[CTY File Download] コールサインから国名を表示するための辞書「cty.dat」の最新版をダウンロードします。(定期的に読み込むと良いです。)
(補足)ハイライト設定の表示
コマンドラインの[表示]から各メッセージの色付けを確認する事が出来ます。
[表示]→[ハイライト設定]

・詳細

その他[受信バンド幅] 3,000Hzにしました。
[Special operating activity] FT8のDXpeditionのモードでDxpeditionの相手(Fox)を呼ぶ場合は[Hound]をチェックしますが、メイン画面に[H](Hound)ボタンがあるのでそちらを使えば良いです。
コンテストの設定は後述します。
上記設定が終わったら[OK]をクリックして設定を終了します。
念のため、WSJT-Xを終了して再起動します。
(おまけ)wavファイルの録音
メニューバーの [保存] の「すべて保存」を選ぶと受信音がシーケンス毎に 年月日_時刻.wav 形式のファイルとして録音されます。
たくさんのwavファイルが溜まるので通常は「無し」にしてください。

wavファイルの保存先は、設定→[オーディオ] にある「保存ディレクトリー」で指定されたフォルダーです。
「デコードしたメッセージを保存」では直前のシーケンスの.wavファイルだけが残ります。
録音したwavファイルはメニューバーの [ファイル]→[開く] でデコード表示する事が出来ます。
wavファイルはデコード性能の評価などに使う事ができます。
過去にFT8やJT65をやられた方でTurbo HAMLOGを使われている場合、HAMLOGからADIFファイルを出力してWSJT-XのADIFファイルに上書きする事によりログ情報を取り込むことが出来ます。
(パソコンの買換えなどで、旧パソコンにWSJT-Xのwsjtx_log.adiファイルがあれば、コピーしても良いです。)
この作業はWSJT-Xを起動していない状態で行ってください。
別記事「ADIF Master による ADIFファイル正規化」を参照して、HAMLOGのログからADIFファイル(wsjtx_log.adi)を作ってWSJT-Xのwsjtx_log.adiに上書きします。

(補足)WSJT-XのログディレクトリはWSJT-Xから開くことが出来ます。
ファイル-->ログディレクトリを開く

BktTimeSyncはデジタルモード通信用に開発されたソフトなので、FT8と相性が良いです。
以下の記事を参照してBktTimeSyncをインストールしてください。BktTimeSyncはパソコン起動時に常駐して、パソコンの時計をネット上の時刻サーバに合わせてくれます。
FT8通信用時刻合わせソフト BktTimeSync インストール
FT8通信時はWSJT-XとHAMLOG、JT_Linker(JT_Linkerを使う場合のみ)を起動しておきます。(BktTimeSyncはパソコン起動時に自動起動して常駐します。)
(1) IC-7300側の設定
・通信モード
通信モードはWSJT-Xから自動的に設定されてUSB-Dモードになります。
ちなみにIC-7300のUSBとUSB-Dの違いは、以下らしいです。(他にもあるかも)
受信フィルターの帯域幅
送信フィルターの帯域幅
送信時自動的にマイクオフになる。
・受信フィルター設定
IC-7300のUSB-DのフィルターはデフォルトでFIL1が最も広くて1.2k(900~2100Hz)になっていますが、FT8の通信では900Hz以下や2,100Hz以上で出ている局も多いです。
そこで、FIL1のバンド幅を広げておいてFIL1で通信します。
「FIL1」長押しでFILTER設定画面を表示させて、「BW」でメインダイヤルを回してバンド幅を最大の3.6k(-300~3300Hz)に設定します。これで、3,300Hzまでの周波数が受信できるようになります。

・AGC設定
AGCはFAST(AGC-F)に設定します。(FUNCTIONボタン→AGC FAST)
他にNB(ノイズブランカ)、NR(ノイズリジェクタ)はオフにします。
(補足)
FT8通信時の画面はMETER表示にしています。FT8ではスペクトラムスコープ表示は意味が無いのでALCとSWRを確認できるようにしています。(MENUボタン→METER)

(2) 通信する モード、バンドを設定
WSJT-Xで通信する モード、バンドを設定します。受信音を聞きながらバンドを切り替えれば、出ている局がいるかどうかすぐ分かります。

① 通信モードはモードボタンの [FT8] をクリックして「FT8」に設定します。
FT8、FT4、MSK144、Q65、JT65のモードをモードボタンで切り替えられます。
② バンド
画面左中段の周波数選定BOXで運用周波数を選びます。例では15m 21.074MHzです。

*が付いている周波数は設定の [周波数] で [Pref] にチェックを入れた優先周波数です。
バンドを選ぶとIC-7300の周波数と通信モード(USB-D)が設定されるはずです。変わらない場合はCAT制御が上手くいっていません。
(補足)kHZ周波数の直接入力
②にバンド波長(例えば、20m、15m、70cm)を直接入力する事も出来ます。
また、kHz部分の周波数を入力する事が出来ます。例えば、14.074 000 が表示されている状態で「091k」と入力すると 14.091 000 にQSYできます。DXペディション局の出ている周波数に合わせるのに便利です。
他のボタンは、とりあえず上記画面と同じ設定で始めてみてください。
③ [Tx even/1st] CQを出すときにチェックすると00秒/30秒に送信を開始します。チェックを外すと、15秒/45秒に送信を開始します。
④ [自動シーケンス] FT8では自動でシーケンスを進めるのでチェックしておきます。
⑤ [コール 1st/Max Dist] CQを出して複数局から呼ばれた場合の動作を選べます。(WSJT-X 2.6.0で追加)
⑥ 右下の送受メッセージタブはタブ1(標準メッセージ生成)を選んでおきます。
[DXコール] に相手コールサインを入れて [標準メッセージ] をクリックするとTX1~TX5のメッセージが生成されます。
TX4がRRRになっている場合は [TX4] をダブルクリックしてRR73にしてください。
(補足)最新のWSJT-XではRRRにすると73を送らずに交信を終了する仕様になっています。JTDXの相手と交信すると問題がありますので、RR73にする事をお勧めします。
⑦ [送信周波数固定] チェックすると送信周波数を固定します。通常はチェックしておきます。
⑧ [モニター] ON(緑)にして受信を開始します。
⑨ [送信許可] ON(赤)にして送信を開始すると指定した送信メッセージを送信します。OFFにすると送信中メッセージを送信してから送信を停止します。
⑩ [送信停止] 送信を中断します。
⑪ [メニュー] 画面が狭い場合などにメニューバーをOFFする事が出来ます。
⑫ [H] Houndモードへの切替です。
左クリックでFT8 Houndモードになります。
Houndモードで左クリックするとノーマル モードに戻ります。
右クリックでHoundモードとSuperFox Houndモードが切り替わります。
(3) 変復調レベル調整
・変調レベル
変調レベルはWSJT-Xメイン画面の[チューン] ボタンを押すとIC-7300が送信状態になるので、 ALCメーターが少し触れるレベルに画面右側の[出力]スライダーを調整します。

ALCメーターが大きく振れる状態で送信すると信号が歪んで子供や孫が発生する恐れがあるので大きく振れないように調整してください。

(補足)
IC-7300側で送信音質モニターをONにして運用中の送信音を確認する事が出来ます。(FUNCTIONボタン→MONI ON)
私はモニター音量は5%でかすかに聞こえるレベルにして、必要に応じて送信音を確認しています。(MULTIボタン→MONITOR)
・復調レベル
復調レベルは 3. パソコンのサウンドデバイス設定 の入力でIC-7300を選んで入力音量を調整します。受信信号が無い状態で30dBくらいになるように調整しますが、極端に大きすぎたり小さすぎたりしなければ大丈夫です。私の場合、10に設定しています。
(4) 受信

画面中央の [モニター]が緑になっていない場合はクリックして緑にして受信を開始してください。
・ウォーターフォール画面(ワイドグラフ)

受信信号をウォーターフォール/スペクトラムで表示しています。
[操作パネル] 画面が狭い場合などに、下側の設定パネルを非表示にして使えます。
[Bin数/ピクセル X ] 表示帯域を変えて3,500Hzくらいまで表示するようにします。
(注)ウォーターフォールの表示帯域のみ受信するので表示帯域は狭くしないでください。
[開始 100 Hz] 私は100Hzからの表示にしています。
[N Avg X ] 縦方向の時間軸を調整します。数シーケンス前まで表示されるようにします。
[スペクトラム %] ウォーターフォールとスペクトラムの表示比率です。
右側のスライダーはウォーターフォールの濃さ/ゼロレベル、スペクトラムの高さ/ゼロレベルを調整します。見やすいように調整してください。(薄くし過ぎると、送信周波数を空き周波数に合わせる際に弱い局が見えなくなくなるので注意してください。)
ウォーターフォールで送受信周波数を指定することが出来ます。送信 下向き赤カッコ、受信 上向き緑カッコで表示されています。
左クリック 受信周波数
シフト+左クリック 送信周波数
コントロール+左クリック 送受周波数
・バンド状況ウィンドウ(左側のメッセージ表示エリア)
15秒毎にDecodeが実行されて左側のバンド状況ウィンドウにバンド内の通信が表示されます。
最初は、しばらく他局の交信をモニターして様子をみると良いと思います。(やり取りの流れを把握する。)
バンド状況ウィンドウの表示は時刻(UTC)、信号強度(dB)、時刻ずれ(DT)、周波数(Freq)、メッセージを表示しています。
メッセージは種類に応じて設定の「色」で設定した背景色で表示されます。私の設定では、以下になります。CQメッセージは73/RR73も含みます。(73/RR73も色付け表示する設定にしています。)
CQメッセージが未交信局なら濃いピンク(最初はすべてのCQがピンクになるはずです)
CQメッセージがそのバンドで未交信局なら薄いピンク
CQメッセージが交信済み局ならグレー
CQメッセージがNewCountry(DXCC)なら濃い紫(最初は国内局も紫になるはずです)
CQメッセージがそのバンドでNewCountryなら薄い紫
CQメッセージがLoTWユーザー局なら赤文字色表示
自分宛のメッセージは赤
送信メッセージは黄色(受信周波数ウインドウのみ)
[DXコール]、[DXグリッド]に一致するコールサインとグリッドが、それぞれ白文字/背景赤、白文字/背景青
(補足)時刻ずれ(DT)が大きいと旨くデコードできません。複数の局がずれている場合は自分のPCの時刻が狂っている可能性があるので調整が必要です。タスクトレイにあるBktTimeSyncでSync Nowを実行してください。
・受信周波数ウインドウ
ウォーターフォールを左クリックすると受信周波数が移動します。受信周波数の受信メッセージが受信周波数ウインドウに表示されます。
(5) 交信(CQへの応答)
最初はCQを出している局を呼んでみてください。

・ウォーターフォール上でシフト+左クリックをして、空いている周波数に送信周波数を設定します。
他局が使っていない周波数で送信します。
・バンド状況ウィンドウで直前にCQを出している局をダブルクリックします。 [送信許可] が赤に変わります。受信周波数がCQ局の周波数になって、相手のメッセージが受信周波数ウィンドウに表示されるようになります。
・次の15秒間で自動的にコールサインと自分のグリッドロケーターが送信されます。(Tx1の内容)
(ダブルクリックが遅れると途中からメッセージを送るので正常なメッセージが送れません。次の回で正常なメッセージが送られることになります。)
・相手が応答してくれれば、自動的にシグナルレポートが送られます。
相手の応答が他局あての場合は [送信停止] を押して中止してください。
・次の15秒で応答(RR73など)が返り、自動的に73が送られます。
・途中、相手からのメッセージを受信できない場合や同じメッセージが返った場合は次のメッセージが返るまで同じメッセージが送信されます。
(交信のパターン)
1. CQ K1ABC FN42
2. K1ABC G0XYZ IO91
3. G0XYZ K1ABC -19
4. K1ABC G0XYZ R-22
5. G0XYZ K1ABC RR73
6. K1ABC G0XYZ 73
なお、[送信周波数固定] のチェックを外していると送信周波数が自動的に受信周波数に合わせられます。
通常は他局と被らないように[送信周波数固定] にして空いている周波数に固定にして通信します。
(補足2 ちょっと重要)
通常、FT8では同一モード&同一バンドで交信済みのCQ局を呼ぶことはしません。WSJT-Xでは新バンドのNew Call CQが色分け表示されるので、同一モード&同一バンドで交信済みのCQ局は呼ばないようにした方が良いと思います。(国内局同士では1年以上前の交信局は再度呼ぶ事にしている方もいるようです。)
(補足3 ) Tx2から送信しても時間短縮にならない?
パイルアップ局を呼ぶ際にTx1を省略してTx2で呼ぶことがありますが、Tx2で呼んでも時間短縮にはならないかも知れません。普通にTx1から呼んだ方が良いと思います。参照: ログのQSO時刻、Tx2でのコール)

OKを押すとWSJT-XのADIFファイル(wsjtx_log.adi)にログが書込まれて既交信局(B4)の区別に使われます。
JT-Get's機能やJT_LinkerによりTurbo HAMLOGと連携している場合はHAMLOGにデータが送られます。
HAMLOGで [はい] を選ぶとログが記録されます。必要に応じて [キャンセル] で情報を修正して記録してください。

JT_LinkerでeQSLやLoTWへのログアップロードを設定している場合は、eQSL、LoTWにログが送信されます。
参考:JTDX/WSJT-XとHAMLOGを連携するJT_Linkerのインストールと設定
(7) CQ送出による交信
・[CQ:First] (またはCQ:Max Dist)にしておきます。
・ウォーターフォール上でシフト+左クリックをして空いている周波数に送信周波数を動かします。
他局が使っていない周波数で送信します。
・送信メッセージタブで [TX6](CQ)を押します。
・[送信許可]を押して送信を開始します。
・応答があれば、自動的にシーケンスが進みます。
・応答がない場合はTx watchdogで設定した時間(6分)CQを繰り返します。
・途中、相手からのメッセージを受信できない場合や同じメッセージが返った場合は、次のメッセージが返るまで同じメッセージが送信されます。

(補足 ちょっと重要)
Eスポシーズンの50MHzバンドでCQを出す際にJA局はODD(15/45秒 )でCQを出すのが慣例になっています。CQは[Tx even.1st]のチェックを外してODDで出すようにしましょう。
これは、EVENでCQを出すと距離の近いローカル局の受信を妨害しやすいので、その対策です。
(8) その他の機能
・F/Hモード
・Super Fox モード
WSJT-X 2.7.0で追加されたモードです。
DXペディションがFT8のSuper Foxモードを使ってサービスされることがあります。Super FoxモードのDXペディション局(Fox)を呼ぶ場合は [H] を左クリックして [Super Hound](赤) にして呼びます。( [H] (Hound) を右クリックするとHoundとSuper Houndが切り替わります。)

Super FoxではFox局が正当な局か(パイレーツではない)を判定する機能があります。
・コンテストモード
World Wide Digi DX コンテスト、ARRL International Digital コンテストなどのFT4/FT8のコンテストがあります。参加する際は、WSJT-Xの設定でコンテストモードの設定を行って参加します。
以下はWorld Wide Digi DX コンテストの設定例です。

コンテストモードではコンテストログが自動的に作成され、ログ提出時にCabrilloログファイルを出力出来ます。以下の記事を参考にしてください。
ARRL インターナショナル デジタル コンテスト
WW Digi DX コンテスト WSJT-X 設定
・デコード設定
・ALL.TXTの自動分割機能
ALL.TXT(後述) はWSJT-Xのデコード情報、送信情報が記録されています。長年使っているとファイルサイズが大きくなるので、[保存] にALL.TXTを自動分割する設定があります。

年単位、月単位で分割できます。「Split ALL.TXT monthly」にしておけばJTDXと同じように月単位で分割されるので「Split ALL.TXT monthly」にしておけば良いです。
(9) FT8以外の通信モード
[モード切替ボタン] からFT8モード以外の通信モードに切り替えられます。

FT8以外のモードはあまり使う事が無いですが、たまに使うモードもあるので載せておきます。
・FT4
FT8は15秒シーケンスですが、FT4は半分の7.5秒で通信します。
FT8と比べるとデコードS/Nが悪いですが、一定時間により多くの局と交信できるので、コンテストでよく使われるようです。
14.074MHzで北米が開けていてDFの隙間が無い時に、FT4に切り替えるとFT4標準周波数の14.080MHzで簡単に交信できる事があります。
・MSK144
流星バースト通信(MS通信)で使われます。
流星群の極大期に50.260MHz/MSK144モードで通信する局がいます。
以前、ふたご座流星群の極大期に挑戦した事があります。ふたご座流星群 流星バースト通信
・Q65
2021年にEスポやEMEなどの非常に微弱な電波による通信用に開発されました 。
参考:Q65クイックスタートガイド日本語版
送信時間とシンボルレートの異なるいくつかのサブモードがあります。
Eスポシーズンに6mのDXが開けた時にQ65の周波数で交信する局がいます。
50.275MHzでQ65-30A(間隔30秒、占有帯域217Hz)がよく使われるようです。
Q65-30AのS/Nはー24.8dBで、FT8のー21dBよりだいぶ良くなります。
・JT65
2017年にFT8が提供される前はJT65が主流でした。60秒シーケンスで占有帯域もFT8の3倍以上の177.6Hzです。
JT65はFT8やFT4のような自動シーケンス機能は無いので次に送信するメッセージを順に選んで交信します。
JT65時代は出ている局も少ないし、1局との交信に5分以上かかるので、のんびりやってました。
懐かしいですね。(^^;
最近はJT65で出ている局はいないので、長らく使ったことがありません。
以下の記事を参考にしてください。(^^;
(1) WSJT-X/JTDX+JTAlertによるFT8運用環境向上
JTAlertはJTDXやWSJT-Xを補完するソフトで、受信コールサインに交信済み、LoTW、eQSLユーザーかなどの情報を付加して表示してくれます。
(2) FT8運用環境向上 eQSL登録
eQSL.ccはオンラインQSLカードシステムです。紙QSLカードのやり取りはなるべ減らして、電子QSLカードを使う方が多いです。eQSLの利用をお勧めします。
(3) FT8運用環境向上 LoTW登録
LoTWはARRLの公式オンラインログで、DX局はeQSLよりLoTWを使っている局が多いです。LoTWにログを上げて、相手もログを上げるとコンファーム状態になります。LoTWでDXCCアワードの申請が行えます。
(4) FT8運用環境向上 QRZ.com登録
DX局はQRZ.comで交信相手がBURO経由でカードを送れるかなどの情報を見る人が多いです。JTAlertに相手のQRZ.com情報が表示されるようにするためにQRZ.comに登録しました。
WSJT-Xの(レポート)設定で [PSK Reporterによるスポットをオン] をチェックしておくと、PSKレポーターに送受信局情報が送信されます。
PSK Reporter

自分の情報が世界地図に表示されます。他の局の情報も表示されるので、相手から自分が見えているかなどが分かります。
他局の通信ソフトの情報も分かるので、WSJT-XとJTDXのどちらを使っている局が多いかなども分かります。
(補足)
超ローカル局が同じグリッドロケーターのため、PSKレポーターの画面で重なってしまうという問題がありました。
このため、現在はグリッドロケーターを8桁にしています。
JTDX、WSJT-X PSK Reporter表示重なり対策 グリッドロケーターを8桁に変更
(2) WSJT-Xログ (ユーザーディレクトリ\AppData\Local\WSJT-X\wsjtx_log.adi)
WSJT-Xでは、QSOのログをwsjtx.log(CSVフォーマット)とwsjtx_log.adi(標準ADIFフォーマット)へ記録します。
ADIFファイルは交信済みの判定に使われますが、これが壊れて読み込みエラーが起こったという方がいるようです。
HAMLOGでADIFファイルを作り直してリネーム、コピーしてみる。ADIF Master による ADIFファイル正規化をやってみる。などの対処方法があります。
なお、HAMLOGのJT-Get's機能ではwsjtx.logを参照して交信終了直後にログ情報の連携を行います。
(3) ALL.TXT (ユーザーディレクトリ\AppData\Local\WSJT-X\ALL.TXT)
WSJT-Xのデコード情報、送信情報が記録されています。
ログに無い相手からQSLカードを受取った時などの調査に使えます。
なお、HAMLOGのJT-Get's機能ではALL.TXTを表示します。
(4) 複数のリグ切換え
複数のリグを一台のPCにつないで切替えて使う事が出来ます。
WSJT-X 複数リグ接続 切替え IC-9700追加
(5) FT8 無線局免許申請
以前は届出が必要でしたが、現在は届け出不要です。
(6) FT8通信のQSLカード発行
FT8の紙QSLカードの内容について聞かれたので書いておきます。私のQSLの文面です。

RSTはdBにdB値 -08を書いています。
カードはHAMLOGのQSLカード印刷機能を使って印刷しています。以下に私の印刷用マクロを載せておきます。参考にしてください。
HAMLOG_QSLprint.qsl
あと、私のFT8通信の紙カードQSLの発行作業について「オンライン ログとQSLカードの運用について」に書いたので参考にしてください。
(7) プログラムの自動起動
FT8通信時はWSJT-XとHAMLOG、JT_Linker(JT_Linkerを使う場合のみ)を起動しておきます。(BktTimeSyncは自動起動して常駐します。)
WSJT-X、HAMLOG、JT_Linkerを一括で起動するためのバッチファイルを作っておくと便利です。
[FT8_WSJTX.batの例]
echo WSJT-X、HAMLOG、JT_Linker起動バッチ
start C:\WSJT\wsjtx\bin\wsjtx.exe
start C:\Hamlog\Hamlogw.exe
start C:\PROGRA~2\JA2GRC\JT_Linker\JT_Linker.exe
(8) FT8関連ソフト 記事リスト
FT8関連ソフトの記事リストです。FT8関連ソフト 記事リスト
以上です。
2025年2月に正式リリースされた WSJT-X 2.7.0 GA版ではSuper Foxモードが追加されて一部画面の変更がありましたが、本記事はそのままになっていました。
今回、時間があったので内容の見直しとWSJT-X画面の差し替えを行いました。
FT8用通信ソフトはメジャーなものとしてWSJT-X、JTDXがありますが、私はJTDXをメインで使っていて、WSJT-XはコンテストやQ65モードの通信で使っています。
個人的にはJTDXの方がデコード性能が高く、ユーザーインターフェースもJTDXが使いやすいと思っています。
JTDXを使いたい方は FT8運用開始 JTDX+HAMLOG を見てください。
(ここから本文)
この記事ではWSJT-Xを使ってFT8を運用する手順を書いていますが、以下の前提で書いています。
・ログソフトはTurbo HAMLOGを使っている。
・使うソフトはWSJT-X、Turbo HAMLOG、BktTimeSync(時刻合わせソフト)
上級者はJT_Linkerも使用
・無線機はIC-7300を例にして記載
IC-7300+WSJT-XでFT8運用開始
1. 事前準備(USBドライバーインストール)
(1) 必用な設備・SSBモードのある無線機とアンテナ
この記事ではIC-7300を例にして説明します。IC-7300以外の無線機の設定はJTDXの記事を参考にしてください。 IC-7300以外の無線機を使う場合(参考情報)
・Windows11パソコン
Windows7、Windows8、Windows10でも動きますが、Windows11を推奨します。
(Windows10は2025年10月でサポート終了になります。)
ディスプレイはHDサイズ以上を推奨します。
・USBケーブル(A-Bタイプ)
無線機とパソコンを接続します。
送信電波のUSBケーブルへの回り込みでエラーが起きる事があります。そういう場合はフェライトコア(パッチンコア)を入れて対策します。
(おまけ)サムネイル用画像
私の無線機とパソコンです。

モニター画面が小さいとWSJT-Xとログソフト(私の場合Turbo HAMLOG)を並べて表示するのが難しいので、HDサイズ(1920x1024)以上のディスプレイのパソコンが良いです。可能なら2モニターにすれば、ブラウザでPSK REPORTERなども同時に見れて便利です。
(2) 必要ソフトのインストール
・IC-7300のFWをバージョンアップ
FWはVersion1.42が最新です。(2025年6月時点)バージョンが古い場合はバージョンアップしてください。バージョンアップ手順は以下を参考にしてください。
IC-7300M ファームウェアバージョンアップ Version1.30
・USBドライバーインストール
アイコムのページからIC-7300用のUSBドライバーをダウンロードしてインストールします。
参考:USBドライバーインストールガイド(USB3.0対応版) ダウンロード
USBケーブルは外しておく。
ダウンロードしたCD-301501-004.zipを解凍する。
Win10下のCP210xVCPInstaller_x64.exeを実行。(32ビッ トOSの場合はCP210xVCPInstaller_x86.exeを実行)
USBケーブルを接続する。
私の環境ではIC-7300MのUSBシリアルポートがCOM4になりました。

(補足)Windows11でUSBドライバーのインストールに失敗する場合は以下の記事を参照してsilabser.infからインストールしてください。
アイコムのUSBドライバーがインストールできない
(補足)アイコム、八重洲、KENWOODの複数メーカーの無線機を同じPCに接続して使う場合は、シリコンラボのページから最新の CP210x ユニバーサル Windows ドライバー をダウンロードしてインストールする方が良いかも知れません。
・OpenSSLのインストール
最新のWSJT-XではOpenSSL v1.1.1以上が必要です。
OpenSSLがインストールされていない場合は以下記事を参考にしてインストールしてください。(2025年7月20日追記)
2. IC-7300の設定
本記事ではIC-7300を例に説明します。IC-7300、IC-9700、IC-705ではFT8用プリセットメモリーがあるので、FT8通信時にプリセットメモリーを読み込んでください。
IC-7300の[MENU]ボタンを押して②にある[PRESET]を選びます。

初期状態では「通常」と「FT8」が用意されています。

「2.FT8」のプリセットを読み込みます。

「FT8」が使用中になります。

以上でIC-7300のFT8用設定が出来ます。
(参考)IC-7300のFT8プリセットメモリーの内容は以下を参照してください。
IC-7300 F/W Version1.40 FT8プリセットメモリー初期値
3. パソコンのサウンドデバイス設定
以下の記事に従って、PCのサウンドコントロールパネルでIC-7300のサウンドデバイス設定を行います。Windows 10 IC-7300でFT8運用開始 パソコンのサウンドデバイス設定
Windows 11 FT8運用開始 パソコンのサウンドデバイス設定(改版)
4. WSJT-Xのインストール
(1) WSJT-XのダウンロードWSJT-Xのホームページから最新のWSJT-Xをダウンロードしてインストールします。
現時点の最新版はwsjtx-2.7.0-win64.exe または wsjtx-2.7.0-win32.exeです。自分のPCにあった方をダウンロードしてください。
私のパソコンは64bit版なのでwsjtx-2.7.0-win64.exeをダウンロードしました。
(2) WSJT-Xのインストール
wsjtx-2.7.0-winXX.exeを実行してインストールします。
一回目はDesktop Icon を作ったほうが良いでしょう。

インストール先はデフォルトにしました。

スタートメニューフォルダーはwsjtxとしました。(バージョン付きのフォルダーにするとフォルダーが増えるので。)

5. WSJT-Xの設定
WSJT-Xの設定に関しては「WSJT-X User Guide Version 2.7.0」に一度目を通しておくことをお勧めします。WSJT-Xを起動してWSJT-Xの設定を行います。

以下、記述の無い設定はデフォルトで良いと思います。
ファイル→設定
・一般
自局コールサインとグリッドロケーターを設定します。グリッドロケーターは住所からグリッドロケーター計算で調べて入力します。

[新しいデコードメッセージはウィンドウの上から表示] をチェックするとバンド状況ウィンドウに表示されるデコードメッセージが次のシーケンスまでスクロールされなくなります。1シーケンスの受信数が多くて画面がスクロールして見にくい場合はチェックすると良いです。
[Highlight DX Call In message]、[Highlight DX Grid in message] をチェックしておくと、メイン画面左下にある[DXコール]、[DXグリッド]に一致するコールサインとグリッドが強調表示されます。それぞれ、白文字/背景赤、白文字/背景青になります。
[コールサインをダブルクリックすると送信可にする] はチェックしておくとCQを出している局をダブルクリックすると応答を送信してくれるので便利です。[73を送った後、送信を停止] 73を送出完了すると自動的に送信終了します。
(補足)移動運用時は自局コールサインを一時的に JA4JOE/P などの設定にして運用します。
・無線機
IC-7300との通信に関する設定を行います。

[無線機] Icom IC-7300 を選択します。
[シリアルポート] USBドライバーをインストールした際に割り付けられた番号です。私の環境ではCOM4です。
[ボーレート] アイコム機では19200bpsが最大なので19200にしました。
[PTT方式] IC-7300のプリセット機能を使ってFT8用の設定をした場合はCATにします。
[モード] Data/Pktに設定しておくと自動的にIC-7300の通信モードを「USB-D」に設定してくれます。
[スプリット] 疑似スプリット
(重要)スプリットを使う事で送信オーディオ信号(DF)を常に1500から2000Hzの範囲におさめ、2倍3倍高調波を送信帯域の外に押しやることができます。結果、高調波が送信フィルターでカットされ出ていきません。スプリット機能を使うことをお勧めします。
上記までの設定後に[CATをテスト] ボタンをクリックして緑色になれば CATによるIC-7300の制御が出来ています。
[PTTテスト]をクリックするとIC-7300が送信状態になります。(アンテナかダミーロードを接続しておいてください。)
CATが動作しない場合、いったんWSJT-Xを終了して再度起動すると上手くいくことがあります。
それでもCATが動作しない場合は、USBケーブル接続、ドライバー設定、IC-7300の設定、WSJT-Xの設定を再確認してください。
[Update Hamlib] CAT制御用ライブラリ Hamlib 最新にする事が出来ます。
使っている無線機と現在のhamlibで問題が起きていなければ、バージョンアップの必要はありません。
・オーディオ
サウンドデバイス関係の設定です。サウンドカードはIC-7300のサウンドデバイスを指定します。

サウンドカードの名称は 3. パソコンのサウンドデバイス設定で付けたデバイス名です。
(補足1)勝手にサウンドカードがDefoult Deviceになる
オーディオサウンドカードの設定がDefoult Device に変わってしまう事があります。
ノートパソコンを使われている方で、ノートパソコンを持ち出す際にUSBケーブルを外した後に良く起こるようです。
突然受信できなかったり送信できない状況になった場合は、オーディオ設定を確認してください。
(補足2)WSJT-X起動から時間が経つと送信できなくなる
以前、WSJT-Xを起動したままにしておくと送信出力が出なくなり、WSJT-Xを再起動すると復旧するという問題が出たことがありました。USBとHDMIを常時給電にする事で解決しました。
・Txマクロ任意の送信メッセージを登録して送信できますが、とりあえず設定しなくて良いです。運用に慣れてきたら適当なメッセージ(例えば JCCxxxx TU73 とか)を設定して使ってください。

・レポート

[QSOをログするよう促すメッセージを出す] QSOが終了すると自動的にログ書込み確認画面が表示されます。
[dBレポートをコメントに追加] ログにコメントとしてdBレポートが追加されます。参考: eQSLへのコメント入力
[PSK Reporterによるスポットをオン] PSKレポーターに送受信情報が送信されます。(後述)
[UDPサーバー] JTAlertを使う際に設定しますが、とりあえず、すべてチェック無しにしておきます。
・周波数

[運用周波数] 国内周波数の3.531MHzと7.041MHzを追加しました。表の上でマウス右ボタンを押して[挿入]を選んで追加できます。

[削除] 選択した周波数を削除します。無線機が対応していない周波数を削除しておくと良いです。
[挿入] 新しい周波数を追加します。
[読み込み] 保存した周波数テーブルを読み込みます。
[名前を付けて保存] 保存する周波数をマウスで選択してファイルに保存します。
全部の周波数を選択して保存すればバックアップが取れます。
[結合] 現在のテーブルと読み込んだテーブルを結合します。
[リセット] 周波数テーブルを初期値にします。
[Pref]をチェックした優先周波数にはメイン画面でバンド選択する際に*が表示されます。
[Description] には周波数の説明を書けます。DX Pedision局の運用周波数を追加する場合にコールを入れておくなどの使い方が出来ます。
[Start date/Time]、[End Date/Time] にはサービス開始日と終了日を入れる事が出来ます。(yyyy-mm-ddThh:mm:ssZ 形式)
設定するとサービス期間中のみ、その周波数が表示されます。
設定するとサービス期間中のみ、その周波数が表示されます。
[局情報] アンテナ情報を設定しておくと PSKレポーター(後述)に表示されます。
(参考)JT65/FT8運用周波数 (すべてUSBモードで運用)
1,838MHz(JT65)、1.840MHz(FT8)
1.909MHz(JT65/FT8 日本)
3.531MHz(JT65/FT8 日本)
3.570MHz(JT65 ※DX用) 、3.573MHz(FT8 ※DX用)
7.041MHz(JT65/FT8 日本)
7.074MHz(FT8 ※DX用) 7.076(JT65 ※DX用)
10.136MHz(FT8)、10.138MHz(JT65)
14.074MHz(FT8)、14.076MHz(JT65)
18.100MHz(FT8)、18.102MHz(JT65)
21.074MHz(FT8)、21.076MHz(JT65)
24.915MHz(FT8)、24.917MHz(JT65)
28.074MHz(FT8)、28.076MHz(JT65)
50.310MHz(JT65)、50.313MHz(FT8)
50.323MHz(FT8 DX用)
144.460MHz(JT65/FT8 日本)
430.510MHz(JT65/FT8 日本)
1296.60MHz(JT65/FT8 日本)
(アマチュアバンドプランを参照してください。)
・色
メッセージの種類によって色分けして表示されます。

とりあえず、デフォルトでも良いと思いますが [新コールサイン] と [バンドの新コールサイン] はチェックを入れた方が良いと思います。
上記設定は私の設定ですが、新コールサインを分かりやすくするためにピンク系の色にしています。モードハイライトをチェックして新モード(FT8で交信済みだがFT4では初めてとか)も区別するようにしています。
[LoTWユーザー]をチェックするとLoTWユーザーのCQメッセージの文字が色付きで表示されます。LoTWでのアワードを狙う場合はLoTWユーザーを呼ぶ必要があるので、チェックしておくと良いと思います。
[Highlight also messages with 73 or RR73] をチェックすると73とRR73メッセージもCQと同じ色付きで表示されるようになるので、73とRR73のタイミングを狙っての呼出しがやり易くなります。
[LoTWユーザー確認] LoTWユーザー表示を利用する場合は、下のLoTWユーザー確認の[データ取り込み]で最新の lotw-user-activity.csv を読み込んでおいてください。(定期的に読み込むと良いです。)
[CTY File Download] コールサインから国名を表示するための辞書「cty.dat」の最新版をダウンロードします。(定期的に読み込むと良いです。)
(補足)ハイライト設定の表示
コマンドラインの[表示]から各メッセージの色付けを確認する事が出来ます。
[表示]→[ハイライト設定]

・詳細

その他[受信バンド幅] 3,000Hzにしました。
[Special operating activity] FT8のDXpeditionのモードでDxpeditionの相手(Fox)を呼ぶ場合は[Hound]をチェックしますが、メイン画面に[H](Hound)ボタンがあるのでそちらを使えば良いです。
コンテストの設定は後述します。
上記設定が終わったら[OK]をクリックして設定を終了します。
念のため、WSJT-Xを終了して再起動します。
(おまけ)wavファイルの録音
メニューバーの [保存] の「すべて保存」を選ぶと受信音がシーケンス毎に 年月日_時刻.wav 形式のファイルとして録音されます。
たくさんのwavファイルが溜まるので通常は「無し」にしてください。

wavファイルの保存先は、設定→[オーディオ] にある「保存ディレクトリー」で指定されたフォルダーです。
「デコードしたメッセージを保存」では直前のシーケンスの.wavファイルだけが残ります。
録音したwavファイルはメニューバーの [ファイル]→[開く] でデコード表示する事が出来ます。
wavファイルはデコード性能の評価などに使う事ができます。
6. HAMLOGからのログ情報取り込み
新規にFT8を始められる場合は、この作業は必要ありません。次に進んでください。過去にFT8やJT65をやられた方でTurbo HAMLOGを使われている場合、HAMLOGからADIFファイルを出力してWSJT-XのADIFファイルに上書きする事によりログ情報を取り込むことが出来ます。
(パソコンの買換えなどで、旧パソコンにWSJT-Xのwsjtx_log.adiファイルがあれば、コピーしても良いです。)
この作業はWSJT-Xを起動していない状態で行ってください。
別記事「ADIF Master による ADIFファイル正規化」を参照して、HAMLOGのログからADIFファイル(wsjtx_log.adi)を作ってWSJT-Xのwsjtx_log.adiに上書きします。

(補足)WSJT-XのログディレクトリはWSJT-Xから開くことが出来ます。
ファイル-->ログディレクトリを開く

7. ログ転送ソフトの設定
別のログ転送ソフトを使わずシンプルな構成が良い方はHAMLOGのJT-Get's機能を使うのが良いと思います。これからFT8を始める方にはJT-Get'sをお勧めしています。
一方、JT_Linkerはログ転送だけでは無く eQSL、LoTW、ClubLogなどのオンラインログへのログ アップロードが出来ます。更に、相手がeQSL、LoTW、ClubLogのメンバーかどうかを判定してHAMLOGのQSL欄にQSL種別と電子QSL送付済み文字を自動記録出来ます。オンラインログ使う方はJT_Linkerを使うのが良いと思います。
とりあえずJT-Get's機能でFT8を始めて慣れたらJT_Linkerにすれば良いでしょう。
なお、HAMLOG用のログ転送ソフトは他にthw2LogBookもあります。thw2LogBookはFT8などのデジタル通信以外のCW、SSB、FMなどのログもアップロードできます。
(1)HAMLOGのJT-Get'機能を使う場合
以下の記事を参考にしてHAMLOGの設定を行ってください。
(2)JT_Linkerを使う場合
HAMLOGの「JT-Get's」ではJTDXやWSJT-XのALL.TXTとwsjtx.logを参照しますが、ハードリンクを使ってWSJT-XとJTDXの両方を使う場合やJTDXの複数起動を行う場合は、「JT-Get's」は使えません。また、JT_LinkerにはeQSL、LoTW、ClubLog、HRDlogなどのオンラインログ(Web Log)への自動ログ アップロード機能と、それぞれのメンバーかどうかを判定してHAMLOGのQSL欄に自動記録する機能があります。
以下の記事を参考にJT_Linkerをインストールして設定を行ってください。
8. BktTimeSyncインストール
FT8通信ではパソコンの時計を正確に合わせる必要があります。Windows自体の時刻合わせ機能では、パソコンの時刻がずれる事があるので、時刻合わせソフトをインストールすることをお勧めします。既に桜時計などの時刻合わせソフトをを使われている方は次に進んでください。BktTimeSyncはデジタルモード通信用に開発されたソフトなので、FT8と相性が良いです。
以下の記事を参照してBktTimeSyncをインストールしてください。BktTimeSyncはパソコン起動時に常駐して、パソコンの時計をネット上の時刻サーバに合わせてくれます。
FT8通信用時刻合わせソフト BktTimeSync インストール
9. WSJT-Xで通信する
FT8通信時はWSJT-XとHAMLOG、JT_Linker(JT_Linkerを使う場合のみ)を起動しておきます。(BktTimeSyncはパソコン起動時に自動起動して常駐します。)(1) IC-7300側の設定
・通信モード
通信モードはWSJT-Xから自動的に設定されてUSB-Dモードになります。
ちなみにIC-7300のUSBとUSB-Dの違いは、以下らしいです。(他にもあるかも)
受信フィルターの帯域幅
送信フィルターの帯域幅
送信時自動的にマイクオフになる。
・受信フィルター設定
IC-7300のUSB-DのフィルターはデフォルトでFIL1が最も広くて1.2k(900~2100Hz)になっていますが、FT8の通信では900Hz以下や2,100Hz以上で出ている局も多いです。
そこで、FIL1のバンド幅を広げておいてFIL1で通信します。
「FIL1」長押しでFILTER設定画面を表示させて、「BW」でメインダイヤルを回してバンド幅を最大の3.6k(-300~3300Hz)に設定します。これで、3,300Hzまでの周波数が受信できるようになります。

・AGC設定
AGCはFAST(AGC-F)に設定します。(FUNCTIONボタン→AGC FAST)
他にNB(ノイズブランカ)、NR(ノイズリジェクタ)はオフにします。
(補足)
FT8通信時の画面はMETER表示にしています。FT8ではスペクトラムスコープ表示は意味が無いのでALCとSWRを確認できるようにしています。(MENUボタン→METER)

(2) 通信する モード、バンドを設定
WSJT-Xで通信する モード、バンドを設定します。受信音を聞きながらバンドを切り替えれば、出ている局がいるかどうかすぐ分かります。

① 通信モードはモードボタンの [FT8] をクリックして「FT8」に設定します。
FT8、FT4、MSK144、Q65、JT65のモードをモードボタンで切り替えられます。
② バンド
画面左中段の周波数選定BOXで運用周波数を選びます。例では15m 21.074MHzです。

*が付いている周波数は設定の [周波数] で [Pref] にチェックを入れた優先周波数です。
バンドを選ぶとIC-7300の周波数と通信モード(USB-D)が設定されるはずです。変わらない場合はCAT制御が上手くいっていません。
(補足)kHZ周波数の直接入力
②にバンド波長(例えば、20m、15m、70cm)を直接入力する事も出来ます。
また、kHz部分の周波数を入力する事が出来ます。例えば、14.074 000 が表示されている状態で「091k」と入力すると 14.091 000 にQSYできます。DXペディション局の出ている周波数に合わせるのに便利です。
他のボタンは、とりあえず上記画面と同じ設定で始めてみてください。
③ [Tx even/1st] CQを出すときにチェックすると00秒/30秒に送信を開始します。チェックを外すと、15秒/45秒に送信を開始します。
④ [自動シーケンス] FT8では自動でシーケンスを進めるのでチェックしておきます。
⑤ [コール 1st/Max Dist] CQを出して複数局から呼ばれた場合の動作を選べます。(WSJT-X 2.6.0で追加)
CQ:None 呼出局を手動で選択します。
CQ:First 最初にデコードされた呼出局に自動応答
CQ:Max Dist 最も遠い呼出局に自動応答
⑥ 右下の送受メッセージタブはタブ1(標準メッセージ生成)を選んでおきます。
[DXコール] に相手コールサインを入れて [標準メッセージ] をクリックするとTX1~TX5のメッセージが生成されます。
TX4がRRRになっている場合は [TX4] をダブルクリックしてRR73にしてください。
(補足)最新のWSJT-XではRRRにすると73を送らずに交信を終了する仕様になっています。JTDXの相手と交信すると問題がありますので、RR73にする事をお勧めします。
⑦ [送信周波数固定] チェックすると送信周波数を固定します。通常はチェックしておきます。
⑧ [モニター] ON(緑)にして受信を開始します。
⑨ [送信許可] ON(赤)にして送信を開始すると指定した送信メッセージを送信します。OFFにすると送信中メッセージを送信してから送信を停止します。
⑩ [送信停止] 送信を中断します。
⑪ [メニュー] 画面が狭い場合などにメニューバーをOFFする事が出来ます。
⑫ [H] Houndモードへの切替です。
左クリックでFT8 Houndモードになります。
Houndモードで左クリックするとノーマル モードに戻ります。
右クリックでHoundモードとSuperFox Houndモードが切り替わります。
ハウンドモードでの周波数の動きは以下のようになります。
DX Pedision周波数に切り替えた後に、[H] ボタンでHoundモードに切り替えた状態から
・[H] ボタンでFT8に戻ると周波数はDX Pedision周波数のまま
・[FT8] ボタンでFT8に戻ると周波数は優先周波数になる
なお、マウスカーソルをWSJT-X画面のボタンやボックスに重ねると説明がバルーン表示されるので参考にしてください。(3) 変復調レベル調整
・変調レベル
変調レベルはWSJT-Xメイン画面の[チューン] ボタンを押すとIC-7300が送信状態になるので、 ALCメーターが少し触れるレベルに画面右側の[出力]スライダーを調整します。

ALCメーターが大きく振れる状態で送信すると信号が歪んで子供や孫が発生する恐れがあるので大きく振れないように調整してください。

(補足)
IC-7300側で送信音質モニターをONにして運用中の送信音を確認する事が出来ます。(FUNCTIONボタン→MONI ON)
私はモニター音量は5%でかすかに聞こえるレベルにして、必要に応じて送信音を確認しています。(MULTIボタン→MONITOR)
・復調レベル
復調レベルは 3. パソコンのサウンドデバイス設定 の入力でIC-7300を選んで入力音量を調整します。受信信号が無い状態で30dBくらいになるように調整しますが、極端に大きすぎたり小さすぎたりしなければ大丈夫です。私の場合、10に設定しています。
(4) 受信

画面中央の [モニター]が緑になっていない場合はクリックして緑にして受信を開始してください。
・ウォーターフォール画面(ワイドグラフ)

受信信号をウォーターフォール/スペクトラムで表示しています。
[操作パネル] 画面が狭い場合などに、下側の設定パネルを非表示にして使えます。
[Bin数/ピクセル X ] 表示帯域を変えて3,500Hzくらいまで表示するようにします。
(注)ウォーターフォールの表示帯域のみ受信するので表示帯域は狭くしないでください。
[開始 100 Hz] 私は100Hzからの表示にしています。
[N Avg X ] 縦方向の時間軸を調整します。数シーケンス前まで表示されるようにします。
[スペクトラム %] ウォーターフォールとスペクトラムの表示比率です。
右側のスライダーはウォーターフォールの濃さ/ゼロレベル、スペクトラムの高さ/ゼロレベルを調整します。見やすいように調整してください。(薄くし過ぎると、送信周波数を空き周波数に合わせる際に弱い局が見えなくなくなるので注意してください。)
ウォーターフォールで送受信周波数を指定することが出来ます。送信 下向き赤カッコ、受信 上向き緑カッコで表示されています。
左クリック 受信周波数
シフト+左クリック 送信周波数
コントロール+左クリック 送受周波数
・バンド状況ウィンドウ(左側のメッセージ表示エリア)
15秒毎にDecodeが実行されて左側のバンド状況ウィンドウにバンド内の通信が表示されます。
最初は、しばらく他局の交信をモニターして様子をみると良いと思います。(やり取りの流れを把握する。)
バンド状況ウィンドウの表示は時刻(UTC)、信号強度(dB)、時刻ずれ(DT)、周波数(Freq)、メッセージを表示しています。
メッセージは種類に応じて設定の「色」で設定した背景色で表示されます。私の設定では、以下になります。CQメッセージは73/RR73も含みます。(73/RR73も色付け表示する設定にしています。)
CQメッセージが未交信局なら濃いピンク(最初はすべてのCQがピンクになるはずです)
CQメッセージがそのバンドで未交信局なら薄いピンク
CQメッセージが交信済み局ならグレー
CQメッセージがNewCountry(DXCC)なら濃い紫(最初は国内局も紫になるはずです)
CQメッセージがそのバンドでNewCountryなら薄い紫
CQメッセージがLoTWユーザー局なら赤文字色表示
自分宛のメッセージは赤
送信メッセージは黄色(受信周波数ウインドウのみ)
[DXコール]、[DXグリッド]に一致するコールサインとグリッドが、それぞれ白文字/背景赤、白文字/背景青
(補足)時刻ずれ(DT)が大きいと旨くデコードできません。複数の局がずれている場合は自分のPCの時刻が狂っている可能性があるので調整が必要です。タスクトレイにあるBktTimeSyncでSync Nowを実行してください。
・受信周波数ウインドウ
ウォーターフォールを左クリックすると受信周波数が移動します。受信周波数の受信メッセージが受信周波数ウインドウに表示されます。
(5) 交信(CQへの応答)
最初はCQを出している局を呼んでみてください。

・ウォーターフォール上でシフト+左クリックをして、空いている周波数に送信周波数を設定します。
他局が使っていない周波数で送信します。
・バンド状況ウィンドウで直前にCQを出している局をダブルクリックします。 [送信許可] が赤に変わります。受信周波数がCQ局の周波数になって、相手のメッセージが受信周波数ウィンドウに表示されるようになります。
・次の15秒間で自動的にコールサインと自分のグリッドロケーターが送信されます。(Tx1の内容)
(ダブルクリックが遅れると途中からメッセージを送るので正常なメッセージが送れません。次の回で正常なメッセージが送られることになります。)
・相手が応答してくれれば、自動的にシグナルレポートが送られます。
相手の応答が他局あての場合は [送信停止] を押して中止してください。
・次の15秒で応答(RR73など)が返り、自動的に73が送られます。
・途中、相手からのメッセージを受信できない場合や同じメッセージが返った場合は次のメッセージが返るまで同じメッセージが送信されます。
(交信のパターン)
1. CQ K1ABC FN42
2. K1ABC G0XYZ IO91
3. G0XYZ K1ABC -19
4. K1ABC G0XYZ R-22
5. G0XYZ K1ABC RR73
6. K1ABC G0XYZ 73
なお、[送信周波数固定] のチェックを外していると送信周波数が自動的に受信周波数に合わせられます。
通常は他局と被らないように[送信周波数固定] にして空いている周波数に固定にして通信します。
(補足1)複合コールサイン
CQメッセージでJA4JOE/1やZA/K1ABCのような形式のコールサイン(複合コールサイン)の場合CQにGridが付きません。CallSign/1のようにコールサインが長いとメッセージに収まらずGridが省略されます。例: CQ JA4JOE/1
CQ以降のメッセージはコールサインの代わりにハッシュコードを送って同じコールと認識して表示します。受信メッセージに <...> 表示のコールサインが表示される事がありますが、これはコールサインとハッシュのリンク情報が無いコールサインです。
複合コールコールサイン同士のQSOはうまくいかない事があるので注意が必要です。(シグナルレポートが省略され、ループになって交信が終了しません。)
なお、CallSign/P形式のコールサインは特別でGridを付けることが出来ます。例: CQ JA4JOE/P PM95
ハッシュコードを使わないので制約がありません。このため、移動局はCallSign/P形式のコールサインを使う方が多いです。
Grid無しのCQを出す局は一連のシーケンスの最後にJCCコードなどを送ってこられる場合があります。
(補足2 ちょっと重要)
通常、FT8では同一モード&同一バンドで交信済みのCQ局を呼ぶことはしません。WSJT-Xでは新バンドのNew Call CQが色分け表示されるので、同一モード&同一バンドで交信済みのCQ局は呼ばないようにした方が良いと思います。(国内局同士では1年以上前の交信局は再度呼ぶ事にしている方もいるようです。)
(補足3 ) Tx2から送信しても時間短縮にならない?
パイルアップ局を呼ぶ際にTx1を省略してTx2で呼ぶことがありますが、Tx2で呼んでも時間短縮にはならないかも知れません。普通にTx1から呼んだ方が良いと思います。参照: ログのQSO時刻、Tx2でのコール)
(6) ログ
交信終了後(73またはRR73送出後)、ログ書込み確認画面が表示されます。
OKを押すとWSJT-XのADIFファイル(wsjtx_log.adi)にログが書込まれて既交信局(B4)の区別に使われます。
JT-Get's機能やJT_LinkerによりTurbo HAMLOGと連携している場合はHAMLOGにデータが送られます。
HAMLOGで [はい] を選ぶとログが記録されます。必要に応じて [キャンセル] で情報を修正して記録してください。

JT_LinkerでeQSLやLoTWへのログアップロードを設定している場合は、eQSL、LoTWにログが送信されます。
参考:JTDX/WSJT-XとHAMLOGを連携するJT_Linkerのインストールと設定
(7) CQ送出による交信
・[CQ:First] (またはCQ:Max Dist)にしておきます。
・ウォーターフォール上でシフト+左クリックをして空いている周波数に送信周波数を動かします。
他局が使っていない周波数で送信します。
・送信メッセージタブで [TX6](CQ)を押します。
・[送信許可]を押して送信を開始します。
・応答があれば、自動的にシーケンスが進みます。
・応答がない場合はTx watchdogで設定した時間(6分)CQを繰り返します。
・途中、相手からのメッセージを受信できない場合や同じメッセージが返った場合は、次のメッセージが返るまで同じメッセージが送信されます。

(補足 ちょっと重要)
Eスポシーズンの50MHzバンドでCQを出す際にJA局はODD(15/45秒 )でCQを出すのが慣例になっています。CQは[Tx even.1st]のチェックを外してODDで出すようにしましょう。
これは、EVENでCQを出すと距離の近いローカル局の受信を妨害しやすいので、その対策です。
(8) その他の機能
・F/Hモード
DXペディションがFT8のF/Hモードを使ってサービスされることがあります。DXペディションの相手(Fox)を呼ぶ場合は [H] (Hound) を左クリックして [Hound](赤) にして呼びます。( [H] (Hound) を右クリックするとHoundとSuper Houndが切り替わります。)


周波数は標準周波数を使わないので、あらかじめ運用周波数情報を入手して設定しておく必要があります。kHZ周波数の直接入力を使うと便利です。
F/HモードではFox局が300から900Hzの周波数で送信して、Hound局は1,000Hz以上で呼びます。応答があれば自動的に送信周波数がFoxの周波数に変わります。Fox局は同時に複数の局を相手に交信します。
最近ではMSHVを使って同時に複数の局と交信するDXPedition局がいます。標準数波数で同一局が複数の信号を送信している場合はMSHVの可能性が高いです。その場合、Houndモードにしないで呼びます。
DXペディション局が非標準周波数でMSHVを使ってサービスする場合もあるので、事前に運用周波数とモード情報を入手しておく必要があります。
・Super Fox モード
WSJT-X 2.7.0で追加されたモードです。
DXペディションがFT8のSuper Foxモードを使ってサービスされることがあります。Super FoxモードのDXペディション局(Fox)を呼ぶ場合は [H] を左クリックして [Super Hound](赤) にして呼びます。( [H] (Hound) を右クリックするとHoundとSuper Houndが切り替わります。)

周波数は標準周波数を使わないので、あらかじめ運用周波数情報を入手して設定しておく必要があります。kHZ周波数の直接入力を使うと便利です。
Super FoxモードではDXペディションはF/Hモードの様に複数のFT8信号を送信するのではなく、帯域の広い(1.5KHz)信号を送信して同時に9局とQSO可能です。(F/Hは最大5)これにより、短時間に多くの局と交信できます。ただし、F/Hモードと比べて信号が弱いとデコード出来ない事が多いので、最近のDXペディションではあまり使われていないようです。Super FoxではFox局が正当な局か(パイレーツではない)を判定する機能があります。
・コンテストモード
World Wide Digi DX コンテスト、ARRL International Digital コンテストなどのFT4/FT8のコンテストがあります。参加する際は、WSJT-Xの設定でコンテストモードの設定を行って参加します。
以下はWorld Wide Digi DX コンテストの設定例です。

コンテストモードではコンテストログが自動的に作成され、ログ提出時にCabrilloログファイルを出力出来ます。以下の記事を参考にしてください。
ARRL インターナショナル デジタル コンテスト
WW Digi DX コンテスト WSJT-X 設定
・デコード設定
デコード設定はパソコンの性能が足りていれば以下の設定で良いと思います。性能不足なら高速や標準の設定にしてください。[AP使用]はQSO時に蓄積される情報(AP情報)をデコーディングに使います。


・ALL.TXTの自動分割機能
ALL.TXT(後述) はWSJT-Xのデコード情報、送信情報が記録されています。長年使っているとファイルサイズが大きくなるので、[保存] にALL.TXTを自動分割する設定があります。

年単位、月単位で分割できます。「Split ALL.TXT monthly」にしておけばJTDXと同じように月単位で分割されるので「Split ALL.TXT monthly」にしておけば良いです。
(9) FT8以外の通信モード
[モード切替ボタン] からFT8モード以外の通信モードに切り替えられます。

FT8以外のモードはあまり使う事が無いですが、たまに使うモードもあるので載せておきます。
・FT4
FT8は15秒シーケンスですが、FT4は半分の7.5秒で通信します。
FT8と比べるとデコードS/Nが悪いですが、一定時間により多くの局と交信できるので、コンテストでよく使われるようです。
14.074MHzで北米が開けていてDFの隙間が無い時に、FT4に切り替えるとFT4標準周波数の14.080MHzで簡単に交信できる事があります。
・MSK144
流星バースト通信(MS通信)で使われます。
流星群の極大期に50.260MHz/MSK144モードで通信する局がいます。
以前、ふたご座流星群の極大期に挑戦した事があります。ふたご座流星群 流星バースト通信
・Q65
2021年にEスポやEMEなどの非常に微弱な電波による通信用に開発されました 。
参考:Q65クイックスタートガイド日本語版
送信時間とシンボルレートの異なるいくつかのサブモードがあります。
Eスポシーズンに6mのDXが開けた時にQ65の周波数で交信する局がいます。
50.275MHzでQ65-30A(間隔30秒、占有帯域217Hz)がよく使われるようです。
Q65-30AのS/Nはー24.8dBで、FT8のー21dBよりだいぶ良くなります。
・JT65
2017年にFT8が提供される前はJT65が主流でした。60秒シーケンスで占有帯域もFT8の3倍以上の177.6Hzです。
JT65はFT8やFT4のような自動シーケンス機能は無いので次に送信するメッセージを順に選んで交信します。
JT65時代は出ている局も少ないし、1局との交信に5分以上かかるので、のんびりやってました。
懐かしいですね。(^^;
最近はJT65で出ている局はいないので、長らく使ったことがありません。
10. JTALertによるFT8運用環境の向上
JTAletrtを使う事で交信相手局がLoTWやeQSLを使っているかが分かるので便利です。また、QRZ.com情報を表示できます。以下の記事を参考にしてください。(^^;
(1) WSJT-X/JTDX+JTAlertによるFT8運用環境向上
JTAlertはJTDXやWSJT-Xを補完するソフトで、受信コールサインに交信済み、LoTW、eQSLユーザーかなどの情報を付加して表示してくれます。
(2) FT8運用環境向上 eQSL登録
eQSL.ccはオンラインQSLカードシステムです。紙QSLカードのやり取りはなるべ減らして、電子QSLカードを使う方が多いです。eQSLの利用をお勧めします。
(3) FT8運用環境向上 LoTW登録
LoTWはARRLの公式オンラインログで、DX局はeQSLよりLoTWを使っている局が多いです。LoTWにログを上げて、相手もログを上げるとコンファーム状態になります。LoTWでDXCCアワードの申請が行えます。
(4) FT8運用環境向上 QRZ.com登録
DX局はQRZ.comで交信相手がBURO経由でカードを送れるかなどの情報を見る人が多いです。JTAlertに相手のQRZ.com情報が表示されるようにするためにQRZ.comに登録しました。
11. その他情報
(1) PSKレポーターWSJT-Xの(レポート)設定で [PSK Reporterによるスポットをオン] をチェックしておくと、PSKレポーターに送受信局情報が送信されます。
PSK Reporter

自分の情報が世界地図に表示されます。他の局の情報も表示されるので、相手から自分が見えているかなどが分かります。
他局の通信ソフトの情報も分かるので、WSJT-XとJTDXのどちらを使っている局が多いかなども分かります。
(補足)
超ローカル局が同じグリッドロケーターのため、PSKレポーターの画面で重なってしまうという問題がありました。
このため、現在はグリッドロケーターを8桁にしています。
JTDX、WSJT-X PSK Reporter表示重なり対策 グリッドロケーターを8桁に変更
(2) WSJT-Xログ (ユーザーディレクトリ\AppData\Local\WSJT-X\wsjtx_log.adi)
WSJT-Xでは、QSOのログをwsjtx.log(CSVフォーマット)とwsjtx_log.adi(標準ADIFフォーマット)へ記録します。
ADIFファイルは交信済みの判定に使われますが、これが壊れて読み込みエラーが起こったという方がいるようです。
HAMLOGでADIFファイルを作り直してリネーム、コピーしてみる。ADIF Master による ADIFファイル正規化をやってみる。などの対処方法があります。
なお、HAMLOGのJT-Get's機能ではwsjtx.logを参照して交信終了直後にログ情報の連携を行います。
(3) ALL.TXT (ユーザーディレクトリ\AppData\Local\WSJT-X\ALL.TXT)
WSJT-Xのデコード情報、送信情報が記録されています。
ログに無い相手からQSLカードを受取った時などの調査に使えます。
なお、HAMLOGのJT-Get's機能ではALL.TXTを表示します。
(4) 複数のリグ切換え
複数のリグを一台のPCにつないで切替えて使う事が出来ます。
WSJT-X 複数リグ接続 切替え IC-9700追加
(5) FT8 無線局免許申請
以前は届出が必要でしたが、現在は届け出不要です。
(6) FT8通信のQSLカード発行
FT8の紙QSLカードの内容について聞かれたので書いておきます。私のQSLの文面です。

RSTはdBにdB値 -08を書いています。
カードはHAMLOGのQSLカード印刷機能を使って印刷しています。以下に私の印刷用マクロを載せておきます。参考にしてください。
HAMLOG_QSLprint.qsl
あと、私のFT8通信の紙カードQSLの発行作業について「オンライン ログとQSLカードの運用について」に書いたので参考にしてください。
(7) プログラムの自動起動
FT8通信時はWSJT-XとHAMLOG、JT_Linker(JT_Linkerを使う場合のみ)を起動しておきます。(BktTimeSyncは自動起動して常駐します。)
WSJT-X、HAMLOG、JT_Linkerを一括で起動するためのバッチファイルを作っておくと便利です。
[FT8_WSJTX.batの例]
echo WSJT-X、HAMLOG、JT_Linker起動バッチ
start C:\WSJT\wsjtx\bin\wsjtx.exe
start C:\Hamlog\Hamlogw.exe
start C:\PROGRA~2\JA2GRC\JT_Linker\JT_Linker.exe
(8) FT8関連ソフト 記事リスト
FT8関連ソフトの記事リストです。FT8関連ソフト 記事リスト
以上です。
長い記事になってしまいましたが、最後まで見ていただきありがとうございます。m(__)m
質問や意見はコメントからお願いします。
間違いなどに気づかれたかたもコメントで教えていただけるとありがたいです。
コメント
コメント一覧 (4)
いつも WSJT-X Improved の記事を参考にさせていただいております。
離島から 6m で運用しているのですが、CQを出すとどうしてもパイルアップになり、
手動でクリックして応答局を切り替えるのが追いつかない場面が多く困っています。
そこで質問させていただきます。
WSJT-X Improved には、CQからのパイルアップ時に自動で順番に呼び局を処理していく「自動ピックアップ」機能はあるのでしょうか?
もしある場合、どの設定を有効にすれば良いのか?(「Auto pickup next caller」などの設定が見当たりませんでした)
また、複数局から呼ばれたときに 順番にピックアップして処理させる方法 があればご教授いただきたいです。
離島からの 6m は呼ばれることが多く、効率良く応答できる方法を模索しております。
お時間のあるときにご教示いただけると助かります。
JA4JOE
が
しました
This application failed to start because no Qt platform plugin could be initialized.Reinstalling the application may fix this problem
アドバイスを頂けると助かります。
JA4JOE
が
しました
(お願い)質問はメールではなく、コメントでお願いします。